Wednesday, August 31, 2011

山下俊一教授、「朝日がん大賞」受賞へ(冗談ではなかった)

朝日新聞が報道しました。本当でした。朝日新聞は、先に福島県で開かれた全国高校生の文化祭もやってましたね、そういえば。

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何かの冗談かとも思いますが、薔薇、または陽だまりの猫ブログに出ていたポストです。(強調は私。)

トンデモ発言で物議をかもす山下俊一・福島県立医科大学副学長に、「朝日がん大賞」が贈られることがわかりました。表彰は、9月2日に鹿児島市で開かれる「がん征圧全国大会」で行われます。

 朝日がん大賞とは、日本対がん協会が贈る協会賞の特別賞として、朝日新聞社の協力で創設されたもの。選考委員には、上田俊英・朝日新聞科学医療エディターも名を連ねます。

 複数の関係者によると、今回の授賞は、チェルノブイリ事故後の学童検診などのほか、福島原発事故に対する山下氏の活動も評価し、「新たな放射線医療科学 の世界的拠点と体制づくりの中心的存在」として期待してのこと。ちなみに同協会の理事長は、「朝日を普通の新聞にする」をスローガンに、企業寄り路線を進 めて記者の士気を低下させ、武富士裏金(広告費)問題で引責辞任した朝日新聞元社長の箱島信一氏です。

 社説で掲げる原発依存からの脱却と、安全デマをふりまく学者への贈賞がどう整合するのか? 武富士裏金問題の際と同様、朝日新聞社の会社としての説明責任が問われることは必至です。


北健一(ジャーナリスト)
Email k-kita@h7.dion.ne.jp

「朝日がん大賞」の詳細はこちらのサイトでどうぞ。(日本対がん協会のページです。)

放射性腐葉土は沖縄でも売られていた

福島第1原発からの放射能プルームにほとんどかかっていなかった沖縄。結局、プルームをかぶりまくった地域の腐葉土が出回って、結局福島由来の汚染が届いてしまいました。残念。最高キロ当たり17500ベクレル。放射性セシウムが検出されてから急いで決めた国の基準は、腐葉土、堆肥などではキロ当たり400ベクレルです。

こうなると、流通だの交通だのが発達した日本というのも、考え物です。

但し、県の福祉保健部の方が、文科省の「3.8マイクロシーベルト」を引き合いに出して「健康に心配はないと言える」(と言える、というのがミソですが)とおっしゃっているのはどうもいただけません。一時間に1.14マイクロシーベルトの放射能を出す腐葉土を与えられて育っている植物も気の毒。

琉球新報8月24日付け記事

県内で販売された腐葉土から放射性セシウムが検出された問題で、県農林水産部と福祉保健部は23日、新たにメイクマン(本社・浦添市)が販売した「家庭園芸腐葉土」の一部から、最大で1・14マイクロシーベルト、17500ベクレルの放射性セシウムが検出されたと発表した。

国の定めた暫定基準値(1キログラム当たり400ベクレル)を大幅に上回り、約43倍の値。商品は14リットルと5リットル入りがあり、宮古、八重山を除く本島内7店舗で2840袋が販売されたという。既に販売自粛されており、購入者に使用を控えるほか、回収を呼び掛けている。

 健康への影響について、宮里達也福祉保健部長は「国から学校の活動基準(子どもの屋外活動を制限する基準)が示されている3・8マイクロシーベルトを下回っており、健康被害が発生する蓋然(がいぜん)性は極めて低い」と指摘。その上で「原発事故でもたらされたものであり、回収するものは回収し、使用した物はなるべく人から遠ざけるという対処を前提に、健康上の心配はないと言える」と述べた。

 また、琉球肥料(沖縄市)が260袋を販売した「特選完熟腐葉土 ふるい通し木の葉100%」(10リットル)の一部から最大で771ベクレルを検出。追加調査となった琉球園材の「瀬戸ヶ原腐葉土」(18リットル)からは、最大で5460ベクレルが検出された。メイクマンは7月25日、琉球肥料は同26日から販売を自粛。県は両社に対し回収指導している。

 県農水部によると、メイクマンが販売した「家庭園芸腐葉土」は、15検体を琉球大学機器分析支援センターで測定。うち1検体から17500ベクレルを検出。4検体で1万ベクレルを超えたほか、4検体は8千ベクレルを上回った。

Monday, August 29, 2011

中部大学武田邦彦教授:「原発のわりと近くに住む2歳の幼児、急性リンパ性白血病に」

武田教授の8月20日の音声のみのブログに出ている音声ファイルリンク:

「takeda_20110820no.96-(3:00).mp3」をダウンロード

または以下の東京茶とら猫さんの書き起こしでどうぞ:

えーと、ある読者の方からですねえ、お知り合いの方が、まあ二歳くらいの方がですね、わりあいと原発から近いところなんですが、急性リンパ性白血病ということを診断されて、だいたい数ヶ月前に遺伝子が損傷したんじゃないかという診断だったそうなんですね。

まあとても心配されておられます。で、まあ、こういうことが起こりますと、もしかすると自然なのかもしれません。ま、この時期ですねえ、一年に数ミリシーベルトもしくは20ミリシーベルトくらい浴びた子供がですねえ、白血病なんかになりますと、やっぱり原発が原因だったんじゃないか、わたしが子供に被曝させたんじゃないかって、深くやっぱり悲しんでしまいます。

まずですね、絶対に東京電力に損害賠償をするべきですね。治療費を出せと。これははっきりと言うべきですね。これがまず第一に大切なんです。もちろんそれによって病気が治るわけじゃありませんけど、しかし、やはりそれがですね、次人の悲惨なことを防ぎますので、是非つらいところですが、そこを頑張ってもらいたいと思いますし、またやはりですね、まあ、一年に1ミリシーベルトはわかりませんが、一年に5ミリシーベルト以上というのは、成人男子でも白血病の労災認定判決があるくらいですから。

親御さんは是非ですね、お子さんの被曝を減らしてほしいですし、それから学校関係者とか、そういう方はですね、もう一度目を覚ましてほしいと。こういう可哀想な例を出さないように。

因果関係がはっきりわかるには、こういうのは大変なんですよ。あの、水俣病とかそんなんでもですね、因果関係を苦しい中で、患者さんが因果関係を証明するのは本当に可哀想だったんですね。やっぱりそのことを日本の指導者の人は早く気がついてもらいたい。

ま、この人はご友人なんだそうですね。とてもショックを受けられております。まあ、東京に住んでおられて、葛飾それから江戸川あたり以外は大丈夫ですし、継続的に食材を気をつけるって事をすればですね、それは大丈夫だと思いますが。やはりお子さんがそうなったときに、非常に反省することになりますので、極力ですね、一年少なくとも5ミリ以下に絶対にしてあげるということを、この際わたしも強く思って、本当に皆さんに注意を呼びかけてください、という話なんですが、わたしもそう思います。

福島第1原発作業員、急性白血病で死亡

東電が8月30日の記者会見で明らかにしました。東電の松本さんは、「福島第1で作業したことと発病とは関連がない」とお医者様がおっしゃっている、と繰り返し、プライベートなことなので今後の追加調査などはする予定がない、とのことです。

この作業員は40代の元請会社作業員、毎日新聞記事によると

東電によると、男性は関連会社の作業員で8月上旬に約1週間、休憩所でドアの開閉や放射線管理に携わった。体調を崩して医師の診察を受け急性白血病と診断 され、入院先で亡くなったという。東電は16日に元請け企業から報告を受けた。事前の健康診断で白血球数の異常はなく、今回以外の原発での作業歴は不明と いう。

とのことです。

福島の中学生が修学旅行でモモの安全PR

8月30日午後5時半から、横浜の山下公園だそうです。福島産のモモを無料で配布。先着150名様。

神奈川新聞8月28日付け記事

原発事故の風評被害で売り上げが落ち込んだ名産のモモをPRしようと、福島市立平野中学校(同市飯坂町平野)の3年生が30日、修学旅行で訪れる横浜・山下公園でキャンペーンを行う。手作りののぼり旗やパンフレットで安全性を訴え、朝取りのモモを無料で配布する。

 同校のある平野地区は、果樹地帯で観光果樹園が盛ん。例年は首都圏からも多くの観光客が訪れるというが、ことしは福島第1原発事故の影響で、モモ狩りに訪れる観光客は例年の1割、予約注文も3割と大幅に減少しているという。

 福島県の検査では、平野地区産のモモから検出された放射性セシウムは最高でも1キログラム当たり64ベクレル。国の暫定基準値(500ベクレル)を下回る。「風評被害だ」と感じた3年生は、「自分たちを育ててくれた地域の人たちが苦しんでいる。応援したい」と2泊3日の修学旅行で訪問する横浜で、モモのキャンペーンを企画した。名付けて「福島は負けない~食べてくなんしょ福島の桃」。

 夏休み中の登校日の26日には、横浜で配布するパンフレットやメッセージカードを作成。修学旅行実行委員会の佐藤希委員長(14)は「福島のモモは安全だと、自分たちの言葉で伝えたい」と話す。

 30日午後5時半から山下公園(横浜市中区山下町)で、3年生約70人が手作りののぼり旗や横断幕を掲げて地元の特産品をPRする。当日の朝収穫した今が旬の品種「川中島白桃」150袋(各2個入り)を、福島県知事と福島市長の「安全宣言」と一緒に無料で配布する。 

「安全宣言」は多分こんな感じでしょう。

Sunday, August 28, 2011

ドイツZDF福島原発報道

ドイツのテレビ局ZDFが8月9日に放送した、福島原発事故後の福島のニュースです。Youtubeで日本語字幕つきのビデオが出ていましたので、下に転載します。

ZDFは8月8日の東電・政府の統合会見に出席して、「土壌中のセシウムがキロ当たり3万5千ベクレルを超えている水田に作付けしているが、どのようなチェックをしているのか」と細野原発相に聞いていました。

ちなみに、土壌中セシウムがキロ当たり5000ベクレルを超える水田には作付けしない、というのは、計画避難区域、避難準備区域だけの話だそうです。ZDFが言った3万5千ベクレルの水田は、ビデオにも出てきますが、本宮市郊外でした。

(ビデオでは5万3千、と訳されていますが、fuenf und dreissig tausend は3万5千です。)

オリジナルのドイツ語ニュースはこちら

Saturday, August 27, 2011

山下俊一教授、福島県の放射線アドバイザーを外れた?

石原信市郎・福島県県会議員(民主党))のツイート

Children fastの活動報告(中間)です。多くの方に感謝です。 すでに山下教授は放射線防護担当から外れました。自主避難者支援も対策が進んでいます。また、基準見直しについても一定の成果を得ました。これもみな皆様のお力添えです。


専門家:「安定ヨウ素剤を飲むべきだった」

半減期が約8日のヨウ素131だけでなく、半減期のずっと短い(つまりそれだけ放射線が強い)ヨウ素132に崩壊する物質が多量に、しかも広範囲の大気中に出ていたからなのだそうです。

5ヶ月経って言われても、今更3月時点に戻ってヨウ素剤を服用できるわけでもないんですが、唯一町民に実際にヨウ素剤を配布した上にちゃんと飲ませた福島県三春町は、不安、風評をあおる、と当時非難されていました。

ちなみに、福島県は、放射線健康リスク管理アドバイザーの山下俊一教授のお言葉として、3月20日(下の記事を見れば分かりますが既に理化学研究所が多量のヨウ素132とヨウ素132に崩壊する物質を大気中で大量に検出した後です)に、福島市についてこのような発表をしています。(原文では二重線で強調してあります。)

「健康への影響はなく、この数値で安定ヨウ素剤を今すぐ服用する必要はありません。」

朝日新聞8月27日付け記事

東京電力福島第一原発の事故で周辺住民が飛散した放射性ヨウ素を空中や食品から体内に取り込むことによる甲状腺の被曝(ひばく)は、健康被害を予防する安定ヨウ素剤を飲むべきレベルだった可能性があることが、27日、埼玉県で開かれた放射線事故医療研究会で指摘された。

 今回、政府は原発周辺住民にヨウ素剤の服用を指示しなかった。しかし研究会では、原子力安全委員会の助言組織メンバー、鈴木元・国際医療福祉大クリニック院長が「当時の周辺住民の外部被曝の検査結果などを振り返ると、安定ヨウ素剤を最低1回は飲むべきだった」と指摘した。

 3月17、18日に福島県で実施された住民の外部被曝検査の数値から内部被曝による甲状腺への影響を計算すると、少なくとも4割が安定ヨウ素剤を飲む基準を超えていた恐れがあるという

 放射性ヨウ素は甲状腺に集まりやすく、甲状腺被曝では放射性ヨウ素の中では比較的、寿命が長い放射性ヨウ素131(半減期約8日)だけが考慮されていたが、広島大原爆放射線医科学研究所の細井義夫教授は「半減期が2時間と短いヨウ素132も考慮が必要」と指摘。理化学研究所などが3月16日に原発30キロ圏外の大気を分析した結果、放射性物質の7割以上が放射性ヨウ素132や、約3日で放射性ヨウ素132に変わる放射性物質だったという

理化学研究所(文科省管轄)は3月16日に既に知っていたわけですね。いくら政府からの圧力があっただろうとはいえ、学者の良心なんていうものはないものと考えることにします。

それはひとまず措いて、約3日でヨウ素132に崩壊する物質とは何だったのでしょう、と思って調べたところ、

テルル132(半減期3.204日)

と分かりました。

そこで6月6日に保安院が出した、福島第1原発からの放射性物質の放出推量についての資料を見ると、テルル132は

7.6x10の14乗ベクレル、つまり、760,000,000,000,000ベクレルまたは760テラベクレル

出ています。

ヨウ素132自体、4.7x10の14乗ベクレル出ていることになっていますから、ヨウ素132の量は合計で、1230テラベクレル。

テルル132の検出は6月初旬にニュースになっていました。浪江町、南相馬市、大熊町での高濃度の検出のニュースで、しかも検出したのは福島県、しかも3月12日の爆発前に検出。それを3ヶ月近く経ってから朝日がニュースにしたわけですが、今回の専門家の話だと、原発周辺だけでなく、30キロ以遠の広い範囲でテルル132が検出されていたことになります。

金属で重いので遠くまで飛ぶはずがない、と専門家が言っていたテルル132が30キロ以遠の大気中で検出されていたのです。

(ポストを書いているだけでなんだかのどが痛くなってきた。)

Friday, August 26, 2011

山下俊一教授、3月21日福島市「放射線と私たちの健康との関係」講演会

3月21日と言えば、福島第1原発の3号機から謎の黒煙が上がっていた日。この日に出ていた大量の放射性物質が東北・関東の広い範囲を汚染しました。福島県でも一旦下降していた空間線量がまた跳ね上がった日です。その日に行われていた山下俊一長崎大・福島医大教授の講演会の書きおこしです。まだお読みでない方がいらっしゃいましたら、どうぞ。

旧日本原子力研究所で米スリーマイル島原発事故などの解析を手がけた元研究主幹の田辺文也氏によると、この日の前後に福島の3号機の燃料が再溶融して多量の放射性物質が発生し、更に再溶融した燃料が圧力容器の底から格納容器に落ちたのではないか、とのことです。(朝日新聞8月8日付け記事 ちなみに朝日の記事には、格納容器から漏れて出て行く放射性物質の図解もあります。ということは、3号機の格納容器も壊れている、と朝日は図では認めているわけでしょうか。)


書きおこしはこちらのブログで出していらっしゃいます。http://ameblo.jp/kaiken-matome/entry-10839525483.html

講演会には長崎大の高村昇教授も出演なさっていますが、以下は山下教授のみの抜粋です。

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山下俊一:

 引き続きまして、少し年をとった山下が出て参りました。皆様方、今のお話を聞いて少しは放射線が何かということをご理解頂ければと思いますが、ここ福島にあって最も心配していることは、環境中の放射性レベル、あるいは土壌の汚染レベル、もっと言うと、野菜、あるいは水、いろんなレベルが安心、安全なのかどうかということだろうと思います。もちろん、火元である原発の事故が収束しない事には何ら将来の安全や安心をお話することはできません。

 私たちが何故ここに来たかというと、専門家の話はよくわからん、あるいは数字が出てきたり単位が出てくると何にことかさっぱりわからん。どの情報を信用していいのかもわからん。わからんずくめ。わからんずくめで判断をして皆様方は行動をとったり、あるいは不安になったり、不信感を持ったり、避難して逃げて行くという、そういうふうな悪循環を是非断ちたいということで、広島・長崎の経験をいかすべくここに来ました。

 皆様方は原発でいま作業されている方々の被ばくの量と、今ここに我々が居る被ばくの量が全然違うということは感覚的にわかりますよね。火元に近ければ近いほど熱線として熱を浴びる、火傷をします。これが今の現状です。火元から遠いと、火は当然熱線も届かないし、火の粉も降り注がない、もっと言うと、火山が爆発した。火山が爆発した近くに居ると、火砕流が流れてくる。大きな岩石が飛んでくる。火の雨も降る。危険。5キロ、10キロ、30キロ離れると火の粉は飛んで来ん。飛んで来たとしても灰になっとる。そのように考えていただけると、この事故の影響は、実は火元さえ抑えれば治まります。しかし、未曾有のこの大惨事で、残念な事に全く予期しないことが次々と起こってきました。

 私も国の原子力安全委員会の一人のメンバーですけれども、毎年原発事故を想定して訓練をします。シナリオありきの訓練です。そのシナリオは10キロゾーンで避難ということで、10キロ内の避難を想定したシナリオでありました。でも皆さん、今回の事故はどうでしょうか、なんだか知らないうちに20キロ圏内が避難地域になってしまいました。実は訓練では、まず危ないということがわかると、屋内退避をします。環境中に放射性物質が出ると危ないから、屋内に避難しないさいという判断がなされます。それでも危ないということであれば、当然避難をする訳です。避難、すなわち安全なところへ逃げて行くというのが避難です。でも、今回は10キロの倍、20キロ避難したにもかかわらず、いま20~30キロの間は屋内退避というふうな言葉で、一般の住民は何の事かよくわからん。これは危険なのか、危険じゃないのか。しかも、マイクロシーベルトという値が出て来て、0.02というバックグランドはいつの間にか1になって2になって、20になって、30になって、そんなふうにどんどん日ごとに何か悪くなっている。今度は福島市でも20マイクロシーベルト/hと言っているぞと。

 これについて枝野官房長官も、あるいは政府も、出す声明は正しいんです。値は正しい。環境の汚染、あるいは物理学的なデータは原子力安全・保安院が出すデータは正しいんです。しかし、何が足りないか。じゃあこれが健康に危険かどうかをきちんと説明し得る、その説明の仕方が足りない。何故足りない。誰もこんなことを経験した事がないからです。想定外のこの事故に対して、専門家も自分の専門の分野のコメントを述べます。マスコミを通じてそうです。色んな人が色んな事を言うから、全く違うことに聞こえる方もあるかもしれません。私達はそういうことをイヤというほど過去の事例で経験してきました。

 今は非常事態ですからご心配が多いけれども、いずれこれは治まって、安全宣言がされて、復興のいかづちを上げなくてはいけません。しかし、今はその渦中です。火の粉が降り注いでいるという渦中で、これをどう考えるかということを皆様方は念頭に置いてください。今その渦中にいる我々が予測をする、あるいは安心だ、安全だという事は、実は非常に勇気のいる事であります。危ない、危険だ、最悪のシナリオを考えるという事は、これは、実は誰でも出来るんです。しかし、今の現状を打破するためにどう考えるかという時に、今のデータを正直に読んで皆様に解釈してお伝えするというのが私たちの役割であります。

 放射線の健康への影響は大きく2つ分かれます。高野先生がおっしゃった外部被ばく、外から放射線を浴びるというのを外部被ばくと言います。私たちが20年来仕事をしているチェルノブイリでは、内部被ばくといいます。規模は違いますが、その様相がよく似ています。だから、海外のメディアは心配をして、これは第二のチェルノブイリ型になる怖れがあるから、皆さん遠い所に避難しましょうと。自国の外国人の、東京のいわゆる入国を減らしたり、国外退去を勧告したりしている訳であります。これも、日本の情報が正しく海外に伝わっていないからであります。

 一般の、私たち20キロ、30キロ離れた人たちの放射線の被ばくは何が問題かというと、内部被ばくであります。決して、ここにいる私たちは直接あの原発の放射線を受けません。これは明確です。20キロ、30キロに住んでいる方々は、あそこの熱線を感じることはありません。唯一、大気中に放散された放射性の物質が飛んで来てるんです。これを拡散といいます。風、あるいは温度、あるいは地形によって、その飛び方は違います。同心円的に3キロ、5キロ、10キロ、20キロ、30キロと言っていますが、これは全く意味がありません。いいですか。 20キロだから安全、30キロだから屋内退避、40キロだから安全と、そういうものではないんです。

 しかし、どこかで線引きをしないといけない。その線引きは、安全だと言えるから線引きをする訳です。20キロを超えれば、放射性降下物が降り注いだとしても、少々汚染しても全く健康に影響がないから、20キロあるいは30キロ屋内退避という今、令が出されています。

 しかし、残念なことに国もこれは困っています。何が困っているか。屋内退避というのは次は避難なんです。じゃあ30キロ以降まで避難させるかどうかという話になります。でも、この一週間その指令は全く出ません。これだけ原発がトラブルを起こして危ない、最悪のシナリオだといいながら、じゃあなぜ国は 20~30キロの人を避難させないんでしょうか。ここは知恵の絞りどころです。今の現状は危険じゃないからです。だから、避難させる必要がないのです。大気中の濃度は恐らく下がります。そして、食物中の汚染も、これは減ってなくなります。どうしてでしょうか。物質は安定なものと不安定なものから成ります。どのような元素も安定な元素と不安定な元素があります。不安定な元素は、不安定ということは安定になるために分裂をします。その時に放射線を出すんです。でも、安定に近づくから放射線は出なくなります。これを半減期といいます。どんどん放射線の活性は減っていきます。エネルギーが強いほど減っていきます。

 大気圏中に出る今回の多くの放射性元素は、放射性ヨウ素であります。ヨウ素は半減期が8日間。8日間で半分になります。そしてその量も非常に少ないために、大気圏中にあるものが身体に入る確率は1/10です。放射性ヨウ素というのは甲状腺ホルモンの原料です。甲状腺に取り込まれます。ワカメや昆布に沢山入っているものと同じものです。その不安定な元素が実は原子炉から出ます。それを吸入して、少しは甲状腺が被ばくをするかもしれません。私が敢えて「少し」と言っているのは、今からお話をするチェルノブイリの事象と比較をするためです。

 放射線は何故怖いかというと、エネルギーだからですよ。紫外線で火傷をする人もいますね。紫外線、みなさん一生懸命、女性の方は特にお化粧のメイキングや紫外線防護に気を遣われます。ただ単に日焼けであけではなくて、欧米ではこれが皮膚がんの原因になるからです。じゃあ、太陽でみんなガンになる?ならないですよ。放射線は紫外線と異なってエネルギーですから、身体に当たるとそれが細胞の遺伝子を壊すということで怖がります。だから、ガンの治療に使うということにもなります。

 放射線はエネルギーとして、1つ覚えてください。1ミリシーベルトの放射線を浴びると皆様方の細胞の遺伝子の1個に傷が付きます。簡単!100ミリシーベルト浴びると100個傷が付きます。これもわかる。じゃあ、浴びた線量に応じて傷が増える。これもわかる、みんな一様に遺伝子に傷が付きます。しかし、我々は生きてます。生きてる細胞はその遺伝子の傷を治します。

 いいですか。1ミリシーベルト浴びた。でも翌日は治ってる。これが人間の身体です。 100ミリシーベルト浴びた。99個うまく治した。でも、1個間違って治したかもしれない。この細胞が何十年も経って増えて来て、ガンの芽になるという事を怖がって、いま皆さんが議論している事を健康影響というふうに話をします。まさにこれは確率論です。事実は1ミリシーベルト浴びると1個の遺伝子に傷が付く、100ミリシーベルト浴びると100個付く。1回にですよ。じゃあ、今問題になっている10マイクロシーベルト、50マイクロシーベルトという値は、実は傷が付いたか付かないかわからん。付かんのです。ここがミソです。

 にもかかわらず、新聞報道ではバックグラウンドの千倍とか、一万倍とかいう話が出ます。そのために、即それが健康影響を及ぼすというふうに誤解されます。書いてる新聞記者がよくわかっとらん。報道関係もよくわからないのに、我々専門家の意見をつまみ食いして記事を書きます。決して100%信用できるデータではない、コメントではないのですが、我々専門家も悪い。これを否定したり、あるいはきちんと反論して来ませんでした。

 私が敢えて今回、このように皆様方の前に立って、専門家としてできるだけ分かりやすい話をしたいと思う理由は、国民がこの原発事故を通じて初めて、理科音痴が解消されるかなと期待しているからです。皆さん福島県民は原発がここにあるので、よく放射線の事をご存知で、放射能のことも知っているのかなと思ったけれども、何の事はない皆逃げ出している。出て行けと言ったら、皆出て行ってしまった。おかしいという疑問の手を挙げるためには理科音痴を日本国民全部、払拭する必要があります。特に新聞記者はそうです。報道関係は初めて今回、自分たちの科学的知識のなさに困惑しているはずです。付け焼き刃で記事を書いている。でも、これも大事なことです。勉強する、福島の原発事故は日本国民全員に理科を勉強するチャンスを与えました。シーベルト、何? ベクレルって、何じゃこりゃ??

 そんなことから実は、私は是非皆様方にご理解頂きたいと思います。熱が上がったか上がらんかは手で触ればわかると言いますけれども、体温計が要るでしょう。いいです? 体重が太ったか太らんか、わからん。体重計が要るでしょう。数値化するということで放射線のレベルを知る事が出来ます。杉花粉がいっぱい飛んで来た。どんくらいあるかわからんぞ。測れんもん。見えん。でも、みんなアレルギーに、アトピーになる。これに対して放射線は測れるというのは、これは1つの武器なんです。いいです? ということは、測れるということは、その数値を政府が正しく出しても、それを理解する国民、我々が正しく理解できなければ何の事はない。全くの馬耳東風、猫に小判なんです。そういうふうにして、いま数値が一人歩きして、ピンポン球でメディアに踊らされています。これは由々しき状態。

 ですから、私は皆様方にまず単位のことでご心配をしないようにお話をします。ミリシーベルトというのが、さっき言った1個細胞に傷が付く、100ミリシーベルトは 100個傷が付く。だから、いま原子力発電所の事故で決死の覚悟で働いている方々は、250ミリシーベルトに安全基準が引き上げられたのです。100ミリシーベルトが1回の、その時の作業時間の被ばくの線量が労働衛生上決められています。それを250というレベルで今彼らは仕事をしています。じゃあ、これで病気起こるの?ガンになるの?というと、そうではありません。このレベルをまず覚えてください。100ミリシーベルトとか250ミリシーベルト。我々日本人は年間約3.5ミリシーベルト被ばくしています。皆さん方全員そうです。私もそうです。ですから、年間数個の傷は放射線のせいです。でも、それ心配いらないんですよ。どうしてか。病気は、いいです?今この話はガンの話ですけれども、ガンは、色んな原因で起こるんです。放射線以外にたばこ、食生活、あるいは遺伝的な背景、環境因子、色んなもので起こります。100ミリシーベルト浴びると、100人、その生涯ずーっと調査すると、100人の内1人ガンが起こるかどうかという頻度です。100人が、平均78歳としましょうか、生きて1人ガンが起こるかどうかという、そういう確率論的な問題です。でも、70も 80も生きればⅠ/3はガンで死んどる。33人はガンで死んどるうちの、1人は放射線のせいかわからんという量の、100ミリシーベルトでみんな議論しています。

 まず、そのレベルをご理解ください。こんな高いところで放射線の障害を議論している。でも、実際はその千分の1、マイクロシーベルトの環境中の問題。体内に入るともっと低い、そういう問題の中で皆さん不安がってます。何故、不安がるか。論理的にいま、私は数値で測れるという話をしました。何故怖がるか。音もしない、においもしない、わかんない。わかんないものに対する不安は、理性ではなく感性、感情で判断するんです。これが人間です。

 私たちは科学の力で、この人類の発展と平和を築こうとしてきました。しかし、残念ながら原子力に関しては、原爆という兵器の開発が先行しました。そのために、原子力の平和利用という原発は常に負のイメージをもって推進されてきました。科学に善し悪しはありません。しかし、科学には善悪は判断できないとしても、事故は付き物です。科学の限界も当然あります。ヒューマンエラー、人のエラーも積み重なります。科学は単に原子力工学だけではありません。医学もそうです。あるいは経済学にしてもそうです。政治学もそうです。科学はありとあらゆる学問体系を含みます。その根幹は皆様方が持っている生き様、哲学です。そして、宗教学です。こういうものを全部含めたものが科学です。その科学が作り出した原子力発電所の過ちや事故を、じゃあ誰が清算し、誰が元に戻すことができるのでしょうか。それはやはり、科学の過ちは科学でしかコントロールすることはできません。これは人間の性です。人間の守備範囲である、自分たちが作り出した物に対しては自分たちで責任をとるという必要があります。

 ミリシーベルトになったら、そのような生体、健康影響がありますが、マイクロシーベルトではありません。だから、私は大胆にも「心配いらん」というふうなことを断定し、バッシングされるかもしれませんが、皆様方に是非このナイーブ(?)から安心と安全を伝えたいということで、この講演会を企画しています。

 昨日、いわき市に行ってきました。びっくりしました、いわき市に行ったら。途中、杉花粉がいっぱい飛んどる。これは原子力のありえんかなと思うくらい杉花粉だらけ。行ったら閑散として、福島市で見るようなガソリンスタンドの長い列がない。人がおらん。どうなっとるんだろうかと思って会場に入ると、ここ福島市民は、あるいはこの地区の、中通りと言うんでしょうか、は、みんな紳士淑女ですね。いわき市に入ったら、「おい、市長替えれ!」「替えるな!」とか、そんな罵声が飛ぶような所だったんです。これはまあ、どうして我々はつるし上げに来たのかと昨日いわき市で思いました。そうしたら、私の友人の鈴木先生が、「いや、これはもう、浜通りと中通りは人種が違うんだ」と言っておられましたので、少しは安心しましたが(笑)。

 大切なことは、科学の目を持って新聞を読む。例えば、この福島市は20マイクロシーベルト/hというふうな値が暫く続いたそうです。しかし、今は10マイクロシーベルト以下になっています。20マイクロシーベルト/hというのは、1時間にずっとそこに居ると20マイクロシーベルト環境中にあり続けるという問題です。24倍すると1日約480マイクロシーベルトがそこにあります。しかし、屋内に居ると、約1/10の48マイクロシーベルトにしかなりません。1日の量は。身体の中に入っていくのは1 /10です。つまり1/100しか身体の中に入ってきません。いいです?すると、数マイクロシーベルト我々は1日に浴びるという計算になります。では、この浴びた内部被ばくはずっと蓄積するんでしょうか。せん。どうして?半減期があるからどんどん減って行く。放射線がここに付いてもずっとそこに残らないんです。だから、汚染という実は表現は、体表面に付いたという意味の汚染であって、ずっとペンキがそこではがれないというわけではありません。そこにたとえ付いて洗わなくても、実は半減期といって不安定な物質が安定に向かって減って行きます。じゃあ、そこにあればいつまでもその局所は被ばくするじゃないかと言いますが、圧倒的に量が少ないです。

 今日は雨が降っているから、ひょっとしたら放射性物質が付いているかと思われるかもしれませんが、私は全然怖くありません。理由は、もう新しい爆発が来ていません。今ここにある放射性物質は、数日前の放射性物質がここに飛んで来て、それが落ちてここに溜まっとる。それだけの話です。だから、これからは色んな所に、盆地、あるいは農場、あるいは牧草地帯、野菜畑、土壌にそういうものが降り注いでいますから、そこを測ればけっこう高い値が出るはずです。じゃあ、それが即危険かというと、まさにいま私が話をしたように、たとえ口にしても、それは危険ではありません。問題はその量をずっと1年間食べ続けた時に、トータルとしてどのくらいになるから、安全基準に沿って、そうならないように制限をかけたというのが暫定的な基準です。

 いいです? 安全な値を決める時に、トータル1年間どのくらい浴びたかということで安全基準を決めますが、これは1回それだけ浴びたということと換算、同じ状態と仮定して安全基準を作っています。微量を長期間受けるということを、1回に沢山受けて沢山細胞に傷が付いているのと同じ割合として安全基準を設けています。ここが一番、放射線の健康影響の重要な点です。放射線は入ったらずっと残っとる。大間違い。半減期があって消えて行く、洗い流される。拡散する。なぜそれが普通の日常の出来事かというと、物質は不安定なものから安定なものに変わる。その時に出す放射線の力は、だから半減期と共になくなっていきます。

 今、日本で一番理科の知識が高いのは、ここ福島市の皆さん方です。こんなことを話をされて首を振って、もっとわかったような感じでいらっしゃいますけれども、なーんもわかっとらん、だいたい。それでいいんです。そんな、何でもかんでもわかったら我々の商売上がったりですよね。こんな話を一度でわかると皆さんはもう大学院卒業、単位をやります。わからんでいいんです。

 唯一お願いしたいのは、皆さんと我々、あるいは皆さんと県、あるいは国の信頼関係の絆をつくるということです。今、何を信用していいのかと。今、皆さん方が最も信頼できるデータは何かということです。これは、好むと好まざるとに関わらず我々は日本国民です。日本で戦争で敗れ、そして原子力産業を支え、今の復興を成し遂げたこの日本において、我々が少なくとも民主主義国家として信じなくてはいけないのは、国の方針であり、国から出る情報です。これをきちんとオーディット、監査して、正しいのか正しくないかを説明する、実は機関が我が国にはありません。中立的に国の出す情報を正しいか正しくないかということを評価する機関がないんです。一方的な国寄り、一方的な反対、一方的な、即ち、そこに恣意が入ったり利益誘導の考え方が入るがために、国民は何となく不信、あるいは不安、疑いの目を向ける訳です。お墨付きがいるんですよ。水戸黄門が印籠を出すように、これは大丈夫だと。そういうふうな関係を、この福島原発を契機に日本はつくり直す必要があります。残念なことにJCOの事故でも、チェルノブイリの事故でも、それがなされて来ませんでした。

 これから福島という名前は世界中に知れ渡ります。福島、福島、福島、何でも福島。これは凄いですよ。もう、広島・長崎は負けた。福島の名前の方が世界に冠たる響きを持ちます。ピンチはチャンス。最大のチャンスです。何もしないのに福島、有名になっちゃったぞ。これを使わん手はない。何に使う。復興です、まず。震災、津波で亡くなられた方々。本当に心からお悔やみを申し上げますし、この方々に対する対応と同時に、一早く原子力災害から復興する必要があります。国の根幹をなすエネルギー政策の原子力がどうなるか、私にはわかりません。しかし、健康影響は微々たるものだと言えます。唯一、いま決死の覚悟で働いている方々の被ばく線量、これを注意深く保障していく必要があります。ただ、一般の住民に対する不安はありません。

 しかしながら、それでも不安はある。誰に不安がある?女性、妊婦、乳幼児です。次の世代を背負う子供達に対し、私たちは責任があります。だから、全ての放射線安全防護基準は、赤ちゃんの被ばく線量を基準につくられています。いいですか。子供を守るために安定ヨウ素材の投与、あるいは避難・退避ということの基準は作られています。大人は二十歳を過ぎると放射線の感受性は殆どありません。もう限りなくゼロです。大人は放射線に対して感受性が殆どないということをまず覚えてください。そのくせ、一番心配するのは大人。これは間違いです。特に男は大間違い。我が身を省みれば、自分はタバコを飲んだり、酒を飲んどるのに、放射線より遥かにリスクが高いのに。男はまず心配いらないです。守るべきは女性、女子供、妊婦、乳幼児です。もし、この状態が悪くなるとすれば、逃げるのは妊婦と子供でいいんです。男は戦わなくちゃ。復興に向けてここで福島県民として、会津の白虎隊でしょう。それくらいの覚悟はあって然るべきです。

 放射線の影響は、実はニコニコ笑ってる人には来ません。クヨクヨしてる人に来ます。これは明確な動物実験でわかっています。酒飲みの方が幸か不幸か、放射線の影響少ないんですね。決して飲めということではありませんよ。笑いが皆様方の放射線恐怖症を取り除きます。でも、その笑いを学問的に、科学的に説明しうるだけの情報の提供がいま非常に少ないんです。是非、今の私の話を聞いて、疑問が沢山あると思いますから沢山質問してください。これは講演会でも講義でもないんです。皆様と私のキャッチボールなんですね

「熱線」??あくまで原爆の理解ですね。ちなみに、日本の自然放射線被曝量は平均1.5ミリシーベルトですので、お間違えなく。

このあと質疑応答部分が続きますが、それはこちらでどうぞ。

質疑応答部分で一つ以前に気づかなかったことで興味深い教授の発言がありました。アメリカの出した80キロ以遠への米国民への避難勧告についてです。

質問: 避難の距離が80キロとか90キロとか、非常に長いですよね。こうした国際的な違いというものは何を根拠においてあるのでしょうか。それだけお聞きします。

山下:根拠はないです。基本的には放射性降下物がどのレベルかということで各国で決めます。少しでも懸念されれば、危険といえば危険というふうに判断をします。アメリカは関東平野まで飛ぶと考えたのでしょう。実際に飛んでいます。しかし、私が強調したいのは、そのレベルでは健康影響は全く出ません。ただ、外国人です。外国人は日本と心中する必要ありません...。

Thursday, August 25, 2011

国立環境研究所によるヨウ素131、セシウム137積算沈降量シミュレーション

福島第一原発で放出されたヨウ素131の13%、セシウム137の22%が日本の陸地に沈着。

「何を今更」のカテゴリーに入りそうですが、まずは8月25日のプレス発表

国立環境研究所の研究グループは、平成23年3月11日に発生した東日本大震災に伴う事故によって東京電力福島第一原子力発電所から放出された放射性物質の大気中の挙動を明らかにするために、日本中央域を対象とした大気中での移流・拡散・沈着過程のシミュレーション(大気輸送沈着シミュレーション)を実施しました。その結果、放射性物質の影響は福島県以外に、宮城県や山形県、岩手県、関東1都6県、静岡県、山梨県、長野県、新潟県など広域に及んでいることが明らかになりました。また、モデル解析から、福島第一原発で放出されたヨウ素131の13%、セシウム137の22%が日本の陸地に沈着して、残りは海洋に沈着するか、モデル計算領域外に輸送されると推計されました。本研究成果は、Geophysical Research Letters(アメリカ地球物理学連合発行)誌の学会員向け電子版に8月11日付けで掲載されました。

その英語論文と言うのはこちらです

で、この論文の19ページ目にあるのがプレス発表にも出ているヨウ素131とセシウム137の積算沈着量と平均濃度。3月11日から29日までの積算です。これを見ると、ヨウ素、セシウムとも、福島を中心とした東北南部、関東全域、中部(長野、新潟、静岡)に広く分布したと推定されています。しかも、高沈着量(赤)なのは福島の半分以上、宮城県南部、茨城県の一部。栃木県から長野県にかけて、セシウムの比較的高い地域(赤、オレンジ、黄、緑)が帯状に存在します。この帯の一部が東京の奥多摩あたりに飛んでいるのが分かります。

プレス発表、および論文の1ページ目にあるとおり、この論文は6月27日に提出され、8月11日に電子版で出版された、とのこと。アメリカ地球物理学連合は権威ある学会ですので、論文もピア・レビューで、おそらく認められて出版されるまでデータは外部に出してはいけない、などの制限があるのだと思いますが、国立の研究所がこのようなシミュレーションデータを持っていてそれを5ヶ月間、論文発表のためかどうかは存じませんが、じっと黙って持っていた、と言うことに、何か割り切れないものを感じます。

25年後のチェルノブイリの土壌のセシウム濃度の研究をしているわけではないのです。現在進行形の汚染で、しかも事故からまもない時期で、しかも高汚染の地域に多くの人が情報を与えられないまま住んでいる、という状況で、学術論文もないだろうに、と思うのは、まあ私のような素人なのでしょう。

そうそう、英語ブログにこんなコメントが付いていました。

I am in japan & you need to know the truth
Radiation risks are very localised. The blanket generalisations printed daily by Japan Times are at best meaningless, at worst misleading.
As with anything in JP, gov is being extremely conservative, setting margins well beyond any rad expert would recommend

ということですので、皆様ご安心ください。(ご苦労様です。)ジャパンタイムズが何で突然出てくるのか分かりませんが、私がジャパンタイムズの記事を引用しているとでも思われたんでしょうか。(ちなみに英語ブログのニュースソースはほとんどが日本のメジャーな新聞・通信社ばかりです。読売、朝日、毎日、共同、時事、時たま産経など。)

Wednesday, August 24, 2011

フェアウィンズ・アソシエーツ、アーニー・ガンダーセン 「新データがフェアウィンズの分析を支持/放射能汚染が日本と世界に拡大」

8月21日付けのビデオの全訳をお届けします。

New Data Supports Previous Fairewinds Analysis, as Contamination Spreads in Japan and Worldwide from Fairewinds Associates on Vimeo.

この中で、ガンダーセン氏は、敷地内に亀裂が出来ていてそこから蒸気が出ている、という未確認情報に触れたあと(氏は現在のところ判断するためのデータがない、と言っています)、重要な情報2つについてコメントしています。

その一つが、カリフォルニア大学サンディエゴ校の研究者が発表した、南カリフォルニアに飛来していた福島由来の放射性硫黄。ガンダーセン氏は、これは氏が4月上旬に言っていたように、3月11日の地震で原子炉に制御棒が挿入されて以降も核反応が続いていた、つまり、臨界状態だったことの証拠である、としています。海水中のクロルに中性子が当たると、放射性硫黄になるのです。(ビデオの中で氏はナトリウム(英語でSodium)、と言っていますが、クロルの間違い。ご当人に確認済み。)

もう一つは、2週間ほど前のアメリカの原子力規制委員会(NRC)の会議で、委員会が福島の使用済み燃料プール内の燃料が損傷していない、と述べたこと。

これが本当だとすると、実に恐ろしいことです。NRCは3月の時点で、原発から1マイル(1.6キロ)のところまで燃料棒の破片が飛び散っている、と言っています。これが、最初にNRCが言っていたように3号機の使用済み燃料プール由来でないとしたら、この破片はどこから出てきたのか。

ガンダーセン氏によると、NRCはこれらの燃料棒破片は原子炉自体から出た、と考えている、というのです。

氏はこのNRCの見解には同意できない、としていますが、もし本当に原子炉の炉心から出たとすると、それはとんでもなく深刻な事態である、とも言っています。原子炉自体が壊れて中の燃料が吹き飛んだことになるからです。

氏がビデオの中で引用しているNRCの7月28日委員会議事録はこちら。(PDFファイル)

最後に氏は放射性がれきの処分問題に触れ、日本政府がやろうとしている処理方法は周辺地域だけでなく世界中に再度放射性物質を拡散することになりかねない、と警告しています。

以下、ビデオ全訳。(H/T 東京茶とら猫)

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フェアウィンズ・アソシエーツ、アーニー・ガンダーセン
「新データがフェアウィンズの分析を支持/放射能汚染が日本と世界に拡大」

こんにちは。フェアウィンズのアーニー・ガンダーセンです。前回のビデオのあとで、いくつか新たな情報がありましたので、それを今日は皆さんにお知らせしたいと思います。

最初は、「ロシア・トゥデイ」で放送され、いくつかのブログでも話題になった話ですが、福島第一原発の敷地に亀裂ができてそこから煙や蒸気が出ている、というものです。その原因として、炉心がメルトスルーして格納容器から出て、地下水に触れたせいではないかといわれています。私は「ロシア・トゥデイ」からコメントを求められましたが断りました。それを肯定するにせよ否定するにせよ、信頼できる工学的なデータが十分にないと思うからです。そういう状況になっている可能性はありますが、確定的な話ができるだけの工学的なデータがまだないと思いました。

ただ、興味深いのは、地面から蒸気が噴き出すという衝撃的な話の陰に、もっと重要な問題が隠れてしまったことです。そして、そちらの問題のほうは裏づけを取ろうと思えばできると思います。

まずひとつは、先週カリフォルニアから届いた報告です。研究者グループが大気中で放射性の硫黄35を検出しました。検出されたのは3月で、福島の事故から2週間ほどたった頃です。メディアは硫黄35が「カリフォルニアで」検出されたことに重点を置いて報じましたが、この報告書には、メディアが報道しなかったはるかに重要なことが書かれています。それは、硫黄35がどうやって生まれたか、という問題です。

太平洋を越えて福島に戻ってみましょう。海水に中性子子がぶつかると硫黄ができることがわかっています。海水中のナトリウム原子[塩素、クロルの間違い。確認済み]の原子核に中性子がぶつかると、硫黄という別の原子に変わります。それが硫黄のつくられるメカニズムです。ですが、報告書によれば、カリフォルニアで検出された量の硫黄をつくるには、1平方メートルあたり4,000億個の中性子が必要です。これは膨大な数の中性子です。誰も聞かなかった質問です。その中性子はどこから来たのでしょうか?

このカリフォルニアの報告書は、私が4月3日にお話しした内容を裏づけるものだと考えています。当時は、福島の原子炉が完全には停止していないと思わせる証拠が十分にありました。思い出していただきたいのですが、津波が襲ったとき、1時間のあいだ原子炉は停止されていました。制御棒が挿入されて、あらゆる連鎖反応を停止させたのです。ところが、どうやらそのあとで連鎖反応が再び起きたように思えました。今回カリフォルニアで得られた新しいデータは、私が4月にお話ししていたことを裏づけていると思います。つまり、原子炉が停止されたあとも臨界状態が継続していたということです。

もうひとつ重要な出来事が2週間ほど前にありました。米国原子力規制委員会の会議が開かれ、スタッフが委員会の理事たちに福島の状況を説明しました。そのときの議事録へのリンクをこのビデオのページに出してあります。最初の60ページでは、福島第一原発の燃料プールにあまり問題がないと報告されています。その会議には電話で参加した人がいて、その人が重要な疑問を提起しました。それをこれから読み上げたいと思います。

質問者は「ニューイングランド・コアリション」(原発の安全性を研究するアメリカのNPO)のシャディス氏です。こういう内容でした。

「使用済み燃料プール内の燃料が損傷していないという発言を聞いて驚いています。メディアの報告からは、最大1cmを超える燃料のかけらが燃料プールから1マイル(約1.6km)以上離れたところから見つかっていると思われます。それが私の質問の第一点です。この食い違いを説明してもらえますか?」

シャディス氏が言いたいのは、燃料プールが無傷ならどうしてプルトニウムが1、2マイル(約1.6~3.2km)離れたところから見つかったのか、ということです。

これに対する原子力規制委員会の回答は、控えめに言っても気がかりなものでした。

議事録の61ページにグローブ氏の発言としてこうあります。

「今までに発見が報じられているかけらのほとんどは、原子炉(複数)内部から来たものと思われます」

2ページうしろの63ページでは、ホラハン氏が次のように発言しています。

「敷地内にいろいろな形態で散乱している放射性物質がどこから来たかについてですが、使用済み燃料プール(複数)ではなく炉心(複数)由来である可能性のほうが高いと思われます」

プルトニウムが使用済み燃料プールから飛んできたのではなく、炉心由来のものだとすると、はるかに問題が大きいと私は考えます。4月26日のフェアウィンズのビデオを思い出してください。私は3号機の使用済み燃料プールで「即発臨界」が起きたのではないか、とお話ししました。それを裏づけるデータもたくさんありました。建屋の側面に炎が見えたことや、爆発による噴煙が高く上がったことなどです。この爆発によって、原発から1、2マイル離れた敷地外にプルトニウムが飛んだ、と私は仮定しました。原子力規制委員会が考えているのはそれより深刻な状況です。原子炉が壊れ、格納容器も壊れ、そこからプルトニウムが敷地外に放出されたというのですから。

私にはこの解釈が理解できませんし、率直に言って正しいとは思えません。やはり私は、プルトニウムを吹き飛ばしたのは使用済み燃料プールだったと考えています。ですが、もし私が間違っていて、原子力規制委員会の言うように燃料プールからではないとしたら、はるかに恐ろしい事態だったことを意味します。もし原子炉が壊れ、格納容器も壊れてプルトニウムが放出されたのなら、私たちはアメリカの原子炉の設計を真剣に見直す必要があります。

次に手短にお話ししたいのは、1号機にかぶせるテントがほぼ完成したことです。このテントによって事態が大きく改善するわけではありませんが、2つの問題は解決します。テントの目的は、敷地内の線量を下げることです。テント内の放射性物質はどこかに逃がさないと行けません。さもないとどんどん濃度が高まって、致命的なレベルになります。ですから、排気塔を使って放射性物質を排気しなければなりません。これは作業員にとってはありがたいことです。放射性物質をもっと高い高度で空中に放出できるからです。周辺地域にとっても良いことです。しかし、原発から放射性物質が放出されること自体を改善するわけではありません。

1号機にテントがかぶせられることになっても、問題が解決すると思ってはいけません。セシウムの降下を敷地から遠ざける効果しかないのです。作業員にとってはセシウムを浴びる量が減るので重要なことではありますが、地球全体で見たときに私たちが浴びるセシウムの量が減るわけではありません。

そこが今日の最後のポイントにつながります。北日本では地域全体にセシウムが大量に降下しました。日本政府は、放射能に汚染された瓦礫を焼却することを認めようとしています。キロ当たりの線量が8,000ベクレル以下であれば燃やしてもいいというのです。これは1kg当たりの崩壊数が毎秒8,000個ということです。それを焼却することを日本政府は許可しようとしています。アメリカであれば、放射性廃棄物として処分して何千年も地中に埋めなければならないレベルです。にもかかわらず、8,000ベクレルを超えなければ燃やしていいというのです。

それだけではありません。もっと心配なことがあります。放射能に汚染した瓦礫をほかの瓦礫と混ぜることを認めようとしている点です。たとえば1つのサンプルが24,000ベクレルだとしても、ほかの2つがまったく汚染されていなければ、全部足して3で割ると平均8,000ベクレルになり、燃やしてもいいことになります。

これを行なえば、深刻な問題が派生してきます。まずひとつは、原発から放出されてすでに地面に落ちた放射性物質を再び空中に拡散させることになります。しかも意図的に。周辺地域の学校や校庭ですでに除染が済んでいたとしても、瓦礫を焼却すれば再びセシウムが降ってきます。汚染された瓦礫を燃やす地域は、今現在は汚染がない状態、または汚染が少ない状態であっても、燃やすことで再び汚染され、線量が高くなるでしょう。

瓦礫の焼却によって生じる放射能の雲は、日本だけに留まっているわけではありません。もちろん太平洋を越えてアメリカの北西部にも届きます。汚染された瓦礫の焼却を認めたら、福島の事故をあらためて再現するようなものです。地面に落ちたばかりの汚染物質をもう一度空中に舞い上げるわけですから。

また、福島から比較的離れた地域でも、地面に落ちた放射性物質が川に入り、海に流れているというデータがあります。これまでは福島の原発そのものに注目が集まっていましたが、今や遠くはなれた川が汚染されて、それが海の汚染につながっています。

日本は問題に直面しています。厳しい問題に直面しています。ですが、厳しい問題に直面していることをまず認識しなければ、その問題を解決することはできません。日本政府が事の大きさをこれからも無視し続けるなら、かえって問題は長引き、最初からきちんと対処するより費用が多くかかる結果につながります。

まず、問題に直面していることを認識し、その問題が深刻なものであること、また問題解決には多額の費用がかかることを認識しなくてはいけません。しかし、問題の解決は可能です――解決すべき深刻な問題があるという認識を出発点にして対処するならば。

ありがとうございました。

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Tuesday, August 23, 2011

米国バージニア州ノース・アンナ原発、地震で原子炉停止

最新情報:外部電源復旧。また、ストップした発電機は発電機の冷却材の漏れが原因、ということでしたが、原発内にあった5台目の発電機が作動したので結局4台の発電機で外部電源復旧まで動かしたようです。原発の運転者Dominionのプレスリリースからの情報ですが、外部電源がいつ復旧したのか、その他の詳細は記載されていません。放射性物質の漏洩はない、とのことです。

さて次はハリケーンが来るか...。

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2基ある原子炉が自動停止したものの、外部電源が遮断され、非常用のディーゼル発電機4台で冷却等の安全設備を動かしています。発電機の内1台はストップ、現在3台が稼動。外部電源が復旧したというニュースはまだありません。

原発の耐震設計はマグニチュード6.1、今日の地震は5.9でした。

たかがM5.9の地震で大騒ぎ、と思われるかもしれませんが、米国東海岸はいろいろな地層の寄せ集めのような西海岸と違って、古くて硬い岩盤。振動が広範囲に広がり、被害が地震の規模以上に大きくなる可能性があります。

このブログでは、ノース・アンナ原発の使用済み燃料プールには設計の4倍から5倍の使用済み燃料が保存されている、とのこと。また、原発稼動32年の間に溜まった使用済み燃料は1200トン、とも。

ノース・アンナ原発には、使用済み燃料プールの他に使用済み燃料のドライ・キャスク保管所があります。(写真はcryptome.orgより)




この原発は内陸にあるのですが、原発用に作った人工湖のほとりにあり、冷却水はこの湖からまかなっています。新しい原子炉の建設の許可申請中で、この原子炉には三菱重工の改良型加圧水炉(APWR)が採用される予定。既設の2基はウエスチングハウス(東芝100%子会社)の加圧水炉(PWR)です。

Monday, August 22, 2011

チェルノブイリでの実地研究:セシウム137の「環境的半減期」は放射性崩壊半減期の数倍から10数倍

2009年12月、Wired Magazine日本語版に掲載された記事です。

福島原発事故に唯一参考になる原子力発電所事故とも言えるチェルノブイリ原発事故。日本でも原発被災地復興のための「除染」が合言葉のようになってきていますが、先日の南相馬市の除染活動を取り上げたABCニュースでは、チェルノブイリの専門家は、「同じような除染はチェルノブイリでも試みられたが、うまくいかなかった」と発言していました。

その専門家は、「除染」してもそれは放射性物質を単に別の場所に移動させるだけであるから、という理由を挙げていましたが、Wiredの記事、記事の元になった論文を見ると、セシウム137の「環境的半減期」は物理的な半減期30年をはるかに超え、最小から最大までの幅は62年から420年だ、と言うのです。

これが本当なら、「除染」は人間の尺度ではほとんど不可能だ、と言うことになります。

記事の元ネタは、アメリカのAGU(American Geophysical Union、アメリカ地球物理学連合)のポスター・セッションで発表された論文。後に実際にPeer Reviewの学術誌(Environmental Science and Technology、環境科学技術)に掲載されています。英文ですが、コピーはこちら。(PDFファイル) (H/T Viola)

Wired Japanの2009年12月18日付記事

チェルノブイリ周辺の核汚染、予想より減少進まず

チェルノブイリ原発周辺の継続的な土壌調査の結果、約30年で半減するはずのセシウムの減少が進んでいないことが明らかになった。「環境的半減期」は180〜320年と見られるという。

Alexis Madrigal

1986年に史上最悪の事故を起こしたチェルノブイリ原子力発電所は、期せずして、放射能の影響を研究する格好の実験場となった。事故から20年以上たった現在でも、現場には驚きが隠されている。

周辺の放射性セシウムが、予想されたペースでは消失していないことが、12月14日(米国時間)、米国地球物理学会の秋季大会で発表されたのだ。

[放射性の]セシウム137の半減期(物質が元の量の半分まで崩壊するのにかかる期間)は約30年だが、チェルノブイリ付近の土壌に含まれるセシウムの量は、およそそんなペースでは減少していなかった。

ウクライナ政府が将来的には再びこの土地を利用したいと考えるのは無理もないことだが、研究チームは、セシウムの半量が周辺の環境から消失するまでの期間――チームはこれを「環境的半減期」と呼んでいる――を、180〜320年と算定している

今回の調査結果は驚きをもって受け止められた。専門家らはこれまで、放射性同位体の環境的半減期は、物理的半減期よりも短くなると予想してきた。どんな土壌サンプルにあっても、自然の拡散作用によって放射性物質の減少が促進される、と考えられたためだ。ストロンチウムに関しては、この考え方は妥当だった。だがセシウムには逆のことが当てはまるようだ。

セシウムの物理的特性は変化しておらず、それゆえ研究チームは、環境に理由があると考えている。たとえば土壌採取地点には、チェルノブイリ原発の付近から新たにセシウムが供給されているのかもしれないし、あるいはセシウムは地中深くの土壌にまで拡散しているのかもしれない。今回の研究チームの1人である、サバンナ・リバー国立研究所のTim Jannick氏(原子核科学)は、さらなる調査で真相が明かされることを期待している。

チェルノブイリ原発事故の後、専門家らは、放射性降下物が飛散すると予測されるルートに沿って、複数の実験場を設置した。さまざまな深さから土壌サンプルを採取し、ストロンチウム、セシウム、プルトニウムの放射性同位体が地上にどれだけ拡散されるかを測定した。この計測は20年以上続けられており、最悪に近い原発事故が環境に対して持つ長期的な影響に関して、貴重なデータを提供してくれている。

米エネルギー省のハンフォード核施設[第二次大戦中から1970年代までプルトニウムを精製してきた]のように長期にわたって汚染されてきた地域に比べれば、チェルノブイリの影響は単純で理解しやすいので、そのデータが期待されている。

論文では、セシウム137の環境的半減期の最低値は90年、最高値が320年、となっていますが、その数字の内訳を良く見ると幅は更に広く、土壌の種類にもよって62年から420年。(論文12、13ページ参照。)

論文の要旨部分からの抜粋:

It was found that the 137Cs absolute T1/2 ecol values are 3–7 times higher than its radioactive decay half life value. Therefore, changes in the exposure dose resulting from the soil deposited 137Cs now depend only on its radioactive decay.

セシウム137の環境的半減期は放射性崩壊の半減期の3倍から7倍であることが分かった。従って、土壌中のセシウム137からの被曝線量の変化は、現在は放射性崩壊のみに拠るものである。

本文の記載から抜粋:

The experimental data on 137Cs redistribution in the soils of the experimental plots demonstrate a relatively low intensity of 137Cs vertical transfer. Twenty one years after the fallout, 90-97% of the total 137Cs inventory deposited in the upper 5-cm thick soil layer of the grassland formed on automorphous mineral soils. A more intense 137Cs transfer occurred in the grasslands formed on hydromorphous organogenic soils where, within the same period of time, the upper 5-cm thick soil layer contained 50-89% of 137Cs.

実験区画地面での土壌中のセシウム137の再分布に関する実験データは、セシウム137の垂直方向の移動が比較的緩慢であることを示している。放射能汚染から21年後の時点で、automorphous mineral土壌の上の草地では、セシウム137の総量の90パーセントから97パーセントまでが土壌上層5センチ内に堆積している。水性の生物由来(?hydromorphous organogenic)の土壌の上の草地ではセシウム137の移動はもっと活発で、同じ期間で土壌表層5センチ内のセシウムの量は50パーセントから89パーセントになっている。

日本の場合、セシウムその他の放射性物質が降下した畑や水田を耕してしまった場所も多いので、5センチより深層にもっと移動しているのでは、と思いますが。

表層から50センチぐらいまで、表土、Top soilを取ってしまえばいいのではないか、という方もいらっしゃるようです。しかし、これが学校の校庭ならいざ知らず、福島の大部分を占める農地、山林でそのようなことが可能かどうか。取った土をどうするのかはひとまず措き、表土部分を取ってしまった土地で耕作が出来るのか、とも思います。表土部分に含まれる自然有機物、植物の根と共生関係にある微生物などを取り除いてしまう、ということになるからです。

どうも最近とみに悲観的になっていらっしゃるような感のある京都大学の小出裕章さんは、「除染はできません」とはっきりおっしゃっていますが、さて。

Sunday, August 21, 2011

時事通信:「福島エクソダス・原発事故は何をもたらしたのか」

時事通信の独自取材のシリーズ、現在で2回目のようですが、必読です。「エクソダス」というのは元の英語では”Exodus"、大勢の人が出て行くことです。

一般の福島県民には大丈夫と言い、不安をあおるな、と保護者を叱っておきながら、県庁の役人はしっかり自分の子供は避難させた、という情報も。

原発事故がもたらしたもの。一般市民同士の対立と離反。これは福島に限ったことではないようですが。

第1回からの抜粋: 「不安あおるな」と学校が圧力

学校も全く動かない。1つは給食。「地産地消」で福島県産の牛乳を使っている。教頭に産地を聞くと、野菜は「業者との信頼関係」としか答えてくれない。近隣の市町村でストロンチウムやプルトニウムが検出されたといううわさが流れるが、テレビでは何も報じられない。確認のしようもなく、不安だけが募る。

 「情報操作されている」のではないかと不信感を募らせた畑野さんは、ネットで子どもを守る方法を探るうちに、同じ思いの保護者と相談し合うようになった。だが、情報を集める畑野さんに対し、学校側は「(他の親の)不安をあおるような言動は止めてほしい」と圧力を掛けてきたという。

 畑野さんは「放射能で心配と質問すれば、『神経質すぎる』と言われ、避難した人には『逃げた』という中傷が浴びせられる。どうして傷つけ合わなくてはならないのか、責任は東京電力や国にあるのに。傷つけ合いたくないので、皆、無口になってしまう。もう昔の福島の素晴らしいのどかな生活に戻れない」と嘆く。

...園田和子さん=仮名=(41)は8カ月の身重。中学生と小学生の母親でもある。大震災直後は停電で、原発で何が起きているかも知らなかった。心配した東京の身内から連絡があったが、仕事もあるし、子どもの学校のこともあり避難の決心がつかず、室内退避のままずるずると4月の新学期に入ってしまった。学校からは「何の指導もない」状態だった。

 新学期後、屋外活動については学校から「確認書」にサインしろと文書が来た。給食では野菜は福島県産を使っていないということのようだが、牛乳は県産を使っている。子どもたちには鼻血や口内炎が増えている。不安でたまらず、医師相談ができると聞いて来たという。

第2回からの抜粋: 自主避難という二重基準

一方、児童ら約500人の県外脱出を支援している「ハーメルン・プロジェクト」の志田守代表(60)は「県教育庁に何度も電話し、避難のことを聞いた。その中で担当者に『あんたは子どもはいるのか。避難させないのか』と聞いたところ、5人中3人がもう避難させたと答えた」と語った。

 「役人は、公式には(「暫定的な考え方」を根拠に)避難しなくても大丈夫と言いながら、自分の子どもだけはしっかり避難させている。これが現実ですよ」と憤懣(ふんまん)やる方ない。「中には母親が子どもを連れて逃げるために、離婚する家庭も増えているようです」と明かしてくれた。

 経済的社会的優越者やチャンスに恵まれた子どもは県外脱出や一時避難ができるのに、そうでない「弱者」は残留するしかないのが現実だ。原発震災で日ごろ見えなかった「経済的社会的格差」が子どもたちにも顕在化しているのだ。福島の学校では、安全なので避難する必要はないという建前と、自主避難はOKという「ダブルスタンダード(二重基準)」が堂々とまかり通っているのだ。

Saturday, August 20, 2011

放射線研究で世界に冠たろうとする山下俊一教授、独シュピーゲル誌とインタビュー

ドイツのシュピーゲル誌のインタビューに応じた長崎大・福島医大の山下俊一教授、いろいろと過去の発言について鋭く突っ込まれています。

「放射線の影響はにこにこ笑ってる人には来ない、くよくよしてる人に来る」という発言の意図は?

山下:リラックスも大事だと

リラックスしやすいようにと、年間100ミリシーベルト被曝しても大丈夫だともおっしゃっているが?

山下:日本政府が混乱させたのが悪い。

教授を非難する人々がいるが?

山下:そういう人たちは科学者じゃない。医者でも専門家でもない。

原発周辺の住民には放射線によるどのような健康リスクがあるか?

山下:そんなものはない。放射線のレベルが低すぎる。

大熊町の一年間の積算放射線被曝量は508ミリシーベルトです。山下教授にとってはそれでも低すぎるんでしょうか。

そのくせ、教授は、住民に放射線リスクなどはない、と言ったすぐそばから、福島県全体、県民全員を対象にした科学界未曾有の規模の研究について嬉々として語っています。血圧上昇を覚悟で記事の全訳、お読みください。

しかし一つ解せないのは、こんな学者を世界の学者が放っておくことです。

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8月19日付けドイツ・シュピーゲル誌記事全訳(リンクは元記事に行きます):

福島事故の余波
「住民は放射能恐怖症にかかっている」

山下俊一は放射線の影響を研究する分野において日本を代表する科学者の一人だ。山下は『シュピーゲル』紙とのインタビューで、福島第一原発周辺の住民に放射線被曝の潜在的危険性を伝える仕事について語った。多くの住民が重度の放射能恐怖症にかかっていると山下は話す。

低線量放射線被曝は人体にどれくらい害を及ぼすのか。この問題については科学者のあいだで熱い議論が戦わされている。しかし、原発周辺の住民にその議論の詳細まで説明するには、今はいい時期とはいえない。住民は今まさに放射線の危険と背中合わせで暮らしているからだ。

山下俊一は放射線防護の専門家で59歳。放射線の影響を解明するうえで多大な貢献をしてきた。長崎の被爆者や、1986年のチェルノブイリ原発事故の影響を研究し、チェルノブイリについては日本の科学調査団の一員として現地を100回近く訪問している。山下が今調べているのは福島における大事故の影響だ。ところが、山下の仕事は地元住民の強い反発を買っている。

『シュピーゲル』は山下にインタビューし、福島で予想される被曝の影響や、過去最大級の科学研究をこの地域で行なう計画について話をきいた。この研究で山下は、約200万人の被験者を対象に原発事故の健康影響を調べる考えだ。


シュピーゲル:あなたは福島県から招聘されて、被害地域の住民に放射線リスクを伝える仕事をしてきた。一番最初に「放射線の影響はにこにこ笑ってる人には来ない、くよくよしてる人に来る」とおっしゃったが、あれはどういう意味だったのか。

山下:あれは3月20日の最初の集会でしたね。本当にショックを受けましたよ。皆さんあまりに真面目で、誰も笑わないんですから。

シュ:自分たちの村や町が放射能で汚染されてしまい、目に見えない危険がどんなものかを誰も知らない。そういう反応も当然だと思うが。

山下:皆さん非常に重苦しい雰囲気でした。ラットを使った動物実験からは、ストレスを感じやすいラットほど放射線の影響を受けやすいことが明確にわかっています。放射線の影響下にある人たちにとってストレスは百害あって一利なしです。しかも精神的なストレスは免疫系の働きを抑制するため、ある種のがんや、がん以外の疾患の発症につながるおそれがあります。だからリラックスも大事だと話したのです。

シュ:住民がリラックスしやすいようにと、年間100ミリシーベルト被曝しても大丈夫だともおっしゃっている。通常それは原発労働者の緊急時の被曝上限だと思うが。

山下:100mSvでも大丈夫だから心配いらない、などとは言っていません。ただ、100mSv未満ではがん発症率の上昇が証明できていない、と話しただけです。これは広島、長崎、チェルノブイリの調査から得られた事実です。

シュ:だが、そうやって安心させようとすることが、住民の方々の怒りと恐怖をかえって高めることになるとは思わなかった?

山下:日本政府が年間被曝上限を20mSvに設定したことが、混乱に拍車をかけたと思います。国際放射線防護委員会(ICRP)は、原子力非常事態が起きた際には年間被曝上限を20~100mSvのあいだに設定するよう提言しています。その範囲のどこで線引きをするかは政治的な判断で決まることです。リスクと利益をはかりにかけて考えなくてはいけません。避難するにしてもリスクを伴うからです。放射線防護の観点から見れば、日本政府は最も慎重な方針を選んだのですが、それが皆さんの混乱と不安を高めてしまいました。

シュ:あなたはご自身の数々の発言のため世間で物議をかもしている。あなたを刑事告発したジャーナリストがいるし、反原発の活動家は……

山下:……そういう人たちは科学者ではありません。医師でもなければ放射線の専門家でもない。研究者が研究を積み重ねてきめた国際基準についても何も知りません。皆さんが噂や雑誌や、ツイッターの情報を信じているのを見ると悲しくなります。

シュ:だが専門家は原発は100%安全だと何十年も言い続けてきた。そんな専門家を信じられるわけがない。

山下:私は福島に来て、こういう事故に対する備えがまったくなされていなかったのを知って驚きました。私はかつて中国や旧ソ連諸国に放射線防護に関する助言をしました。今度は自分の国で恐ろしい事故が起きたのに、誰も備えをしていない。福島の人たちは、自分たちの地域に原子炉が11基あることも知らなかったんです。福島大学の医学部には放射線防護医学の専門家がただの一人もいませんでした。

シュ:事故の被害に遭った人たちに対して、今だったら話し方を変えるか?

山下:最初は住民が放射能について何の知識もなかったので、曖昧な表現を避けようと思いました。今では白黒をはっきり言うのではなく、灰色の部分も伝えるような話し方に変えています。

シュ:住民ははっきりした答えを知りたがっている。どこまでが安全なのか。どこからが安全でないのか。

山下:そういう答えはありません。「100mSvまでなら100パーセント安全なんですか?」と尋ねられたら、科学者としてこう答えるしかないのです。「わかりません」と。

シュ:これまでの研究で、100人が100mSvの放射線を浴びたら1人がその放射線のせいでがんを発症することが統計的にわかっている。同程度のリスクが100mSv未満にも当てはまる可能性はあるのか。

山下:可能性はあります。ただ問題は、低線量被曝の健康リスクを推測する際にいわゆる「しきい値なしの直線線量反応モデル」というのが使われることです。このモデルは、たとえわずかでも通常時より多い被曝を受けたら、その被曝した集団の中でがんの発症率がわずかに上昇するという前提に立っています。そうした上昇は理論的にはありえますが、被曝量が100mSv未満の場合には統計的に有意な上昇ではないので、リスクが高まることを支持しているとは言い切れません。それに、何が原因で腫瘍ができたかは区別できません。放射線由来の腫瘍であることが突き止められるような特有の特徴が残るわけではないのです。放射線生物学の研究からは、低線量被曝で人間のDNAが傷つくこともわかっています。ですが、人体はそうした傷を短時間でうまく修復する能力をもっています。生まれながらに人体に備わった防護メカニズムです。私はそういうことを伝えようとしているのです。

シュ:では、そういう情報を住民はどう受けとめればいいのか。

山下:低線量被曝の状況下では、残るか去るかは住民自身が判断しなくてはなりません。ほかに決めてくれる人はいません。自分でリスクと利益をはかりにかけて考えるのです。避難すれば仕事を失い、子供は転校を余儀なくされるかもしれません。それがストレスにつながります。反面、その一家は発がんのリスクを回避できるかもしれません。発がんリスクといってもごくわずかではありますが。

シュ:原発事故の被害を受けたうえにそうした決断を自分たちでしなければいけないとういのは、家族にとってきわめて大きな負担だ。

山下:その通りです。ですから東電も日本政府も、家族が決断しやすいように支援してあげる必要があります。留まろうと思う住民に対しても、1mSvを少しでも超えたら高すぎると考える住民に対しても。

シュ:原発周辺の住民には放射線によるどのような健康リスクが考えられるのか。

山下:周辺住民に放射線による直接的な影響が生じるとは思いません。線量が小さすぎます。

シュ:では、がんもがん死もまったく起きないと?

山下:データに基づいて考えればそうなります。もちろん原発作業員の場合は別です。

シュ:あなたはこれからの研究計画についてすでに話をしている。福島県民の健康状態を今後30年にわたって追跡調査すると。

山下:現在の状況では、私たちは地元の方々になかなか受け入れてもらえません。考えられる最良の医療を住民の皆さんに提供することが最優先です。

シュ:これまでにもっと思いやりのある話し方をしていれば住民に受け入れられたのではないか。

山下:今回の事故のせいで、福島県民は東電と日本政府への信頼を完全になくしました。住民の皆さんは苦しんでいます。地震と津波の被害だけでなく、放射線対する大きな不安に苦しんでいます。まさに放射能恐怖症です。ですから、私たちはその不安を和らげて、住民の心の支えになってあげる必要があります。疫学研究の話はあとからでもできます。地元住民の支援なしには私たちは何もできません。今の状況では、私が長崎とチェルノブイリで研究した専門家であるという肩書きもいっさい役に立たないのです。だから私は福島に移ってきました。

シュ:研究ではどういうことを調べるつもりなのか。

山下:被験者を3つのグループに分けます。原発労働者、子供、それから一般住民です。労働者は高線量の放射線に被曝しています。がんをはじめとするいろいろな疾患について、放射線の影響を追跡調査することが絶対に必要です。一般住民はさらに2つのグループに分かれます。比較的低線量の被曝をした住民と、比較的高線量の被曝をした住民です。福島県の保健福祉部では、26,000人の住民を対象に先行調査を行なっており、まもなく問診票の回収を終える予定です。

シュ:でも住民自身は自分の被曝量がわからない。

山下:それは私たちが突き止めないといけません。3月11日には何時にどこにいたかをきき、以後も3月中の毎日について同じ質問をしています。それから、事故後最初の2週間に何を食べたかや、自宅やアパートが木造かどうかといったことも確認します。そうしたデータと、放射能の雲の分布状況を組み合わせて、それから被曝線量を計算するのです。

シュ:どれくらいの人が被験者になるのか。

山下:200万人の福島県民全員です。科学界に記録を打ち立てる大規模な研究になります。政府は原発事故の被害者に対する補償金について先ごろ決定を下しました。そうした補償プロセスを通じて、県外に避難している住民の方々にも連絡を取りたいと考えています。

シュ:子供についてはどうか。

山下:18歳未満の子供全員について甲状腺の超音波検査を実施したいと考えています。全部で360,000人です。被曝してから甲状腺がんを発症するまでには約5年かかります。それはチェルノブイリの経験で明らかになったことです。

シュ:事故による精神的な影響についても調査しているのか。

山下:もちろんです。チェルノブイリの経験から、心理的な影響が非常に大きいことがわかっています。チェルノブイリでは避難住民の寿命が65歳から58歳に低下しました。がんのせいではありません。鬱病やアルコール依存症、自殺などのためです。移住は容易ではありません。ストレスが非常に大きくなります。そうした問題を把握するとともに、その治療にも努める必要があります。さもないと住民の皆さんは自分が単なるモルモットだと感じてしまうでしょう。

インタビュー:コーデュラ・マイヤー

山下俊一について
山下俊一、59歳。放射線の影響を研究する分野において日本を代表する専門家の一人。長崎大学大学院医歯薬学総合研究科教授。福島第一原発の事故後、福島県放射線健康リスク管理アドバイザーに就任。
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DNAの修復が短時間で出来るのは、放射線被曝が短期間で終わった時の事でしょう。今回のように、被曝がずっと続いている状態でどのような修復がなされるのか。なされないのか。

ああ、この先生はそれを調べたいわけですね。数年、十数年、数十年かけて。モルモットにモルモットと感じさせないために、いわゆる「心のケア」も忘れないそうですから、皆さん安心してください。

福島原発事故で信頼を失ったのは東電と日本政府だけではなく、山下教授のような専門家もなんですが、その辺はごっそり認識が抜けていますね。さすがです。

(H/T東京茶とら猫)

原発と台所、実は似ている

"Nuclear power is one hell of a way to boil water" - お湯を沸かすために原子核を分裂させるこんな大掛かりの装置(原発)が要るなんて、と言ったのはアインシュタイン博士ですが、台所でうっかりなべを焦げ付かせて穴を開けてしまうのと原子炉のメルトスルーは同じようなものなんです、とおっしゃるのは「院長先生」。

8月19日付けブログポストより

原子炉は火力調節機能しかないガスコンロ
圧力容器は圧力釜
ベントは圧力釜の蒸気抜き
メルトダウンはガスコンロに掛けっぱなしで忘れてしまったシチューなべ
メルトスルーはシチューなべが焦げ付いて更に穴が開いてしまった状態

詳しくはリンク先でぜひお読みください。

Thursday, August 18, 2011

「汚染米、偽装してしまえば 怖くない」 字余り

福島産の米を扱う卸売業者の店で、「新潟産」と書かれた米袋が山積み。

単なる悪い噂だろう、と思っていたのですが、実際に見たというジャーナリストの方(吾妻博勝さん)がいらっしゃったようです。

女性セブン8月25日・9月1日号記事

土壌や水、稲わらにまで放射能汚染が発覚するなか、米は安全といえるのだろうか? セシウムによって汚染された米が、私たちの食卓に入り込む可能性は?  そもそも、農家が収穫した米はどのようにして食卓に届くのだろうか。米の流通に詳しい岐阜大学の前澤重禮教授はこういう。

「農家が収穫したお米をその地域のJAが集荷し、JAから米を扱う流通業者に流れ、スーパーや米店などの小売業者の店頭に並ぶというルートが基本です」

 2004年に食糧法が改正されるまでは、このJAを通すルートが米流通のほぼすべてだったが、最近では別のルートも増えている。

 農家が卸業者に直接販売したり、インターネットを使って消費者にそのまま届けたり、ルートはさまざまだ。

 そして消費者の手に届く米には、JAS法に基づいて「精米年月日」や「産地」が表示され、それを見て消費者が米を選ぶことになる。

「産地は都道府県名まで記載することが法律で義務づけられています。さらに昨年10月から米トレーサビリティ法が施行され、米を扱う業者は取引記録を保存し、産地情報を取引先に伝えることが決められています。

 何か問題があった場合には、その取引記録からさかのぼり、違反した業者が罰せられるようになりました。したがって業者が産地偽装した米や、基準値を上回った米を流通させることはないでしょう」(前出・前澤さん)

 ただし、この米トレーサビリティ法はあくまで“性善説”に立った規制。2008年には、農薬に汚染されたベトナム産のうるち米が「食用米」として転売される“事故米騒動”があっただけに、この米トレーサビリティ法が本当に機能するのかどうか疑問視する専門家もいる。

 実際に福島在住の食品ジャーナリスト・吾妻博勝さんはこんな現場を目撃している。

「先日、福島県産の米を扱っている県内の卸売業者の店舗に行ったんですが、どういうわけか店内に『新潟産』と書かれた米袋が大量に積まれていたんです」

 複数の産地や品種が混ざっている「ブレンド米」の不安もある。JAS法で、産地表示が義務付けられているのは「産地」「品種」「産年」が同一の米のみ。ブレンド米は、「国産米」か「輸入米」かを記すだけでよく、都道府県名の記載はあくまで任意となっている。

最後の記述にもご注目。お米のトレーサビリティとやら、つまり、産地が突き止められるように記録を残すことですが、これは都道府県レベルまでしか分からないだけでなく、ブレンド米は単なる任意。国内か輸入かだけでOK。

つまり、「汚染米 混ぜてしまえば 怖くない」。他の放射能産品と同じですね。

吾妻博勝さんは、週間プレーボーイ8月11日号でも次のような発言をなさっています。

「今、福島県内のある業者のもとに、『新潟県産』や『栃木県産』など他県の名が表示された2010年産米の30キログラム用空き袋が続々と集まってきてい ます。精米(白米)にする前の玄米が入っていたもので、すべてJAが検査したことを示す検印入り。もちろん、今年収穫される福島県産玄米を詰めて、被曝リスクのない安全な他県産米として売りさばくためです」

産地偽装プラス収穫年偽装。ここまでやられたらもう東日本の米は買えませんね。

Wednesday, August 17, 2011

「ふくしま新発売」キャンペーンに三田佳子、増田明美(全国賛同店のリストあり)

先日ポストにした福島県の県産品放射能測定結果ページ、「ふくしま新発売」と銘打った単なるキャンペーンですかね、やっぱり。

女優の三田佳子さん、スポーツジャーナリストの増田明美さんなどが参加して都内でイベントが8月17日に行われたようです。日テレニュースより:

女優の三田佳子(69)らが17日、都内で行われた「ふくしま新発売。」プロジェクトの記者発表会に出席した。

 東日本大震災で大きな被害を受けた福島県の復興に向けた取り組みなどを伝えるもので、映画「遠き落日」で同県出身の野口英世の母役を演じたことがきっかけで県の支援に立ち上がった。

 先日、福島・飯坂で行われた農産物をPRする会に出席した際、農家の人々に「『売っているもの(農産物)は大丈夫です』と言ってください!」と懇願されたことを明かし、「それだけ皆さんが追い詰められていると思った。福島の苦しみとか、皆さんの思いがグサッと身の内に入りました」と回想。同プロジェクトの発足を機に「大いに福島産の食べ物が私たちの目の前に並ぶようにしてもらいたい」と力を込めて主張した。

 元マラソン選手でスポーツジャーナリストの増田明美さん(47)も、マラソンイベントなどで毎年同県を訪れていると明かし、「走り終わった後の食べ物、野菜、果物がおいしくて、みなさん声援も送ってくれている。いつもいつも福島からは心豊かないいものをたくさんもらっているので、今度は私が返していきたい」と笑顔で同プロジェクトに賛同した。

どうぞお二人で思いっきりお食べください。他の人に強要するのはやめましょう。

キャンペーンイベントが年末まで目白押し。これは県がお金を出しているんでしょうか?国でしょうか?

さて、「ふくしま新発売」なるサイトには、賛同する全国の店のリストが出ていますので、ご参考になさってください。小売店、流通、飲食店、生活協同組合などで、上海の店まで3箇所、入っています。

宮城県の「復興」計画:震災津波博物館とメモリアルパーク

その他のすばらしい計画の数々。さぞ建設会社が復興することでしょう。

計画通りの街街が出現して、そこに人が住みたい、働きたい、と思うかは、また別物。

県民の意見も踏まえた、とのことです。

そういえば原発の建設、稼動などの決定も住民の意見を踏まえていましたね。その「住民」の多くがやらせだったわけですが、やらせは原発だけですよね?

NHKかぶんTweetのリンクは8月17日付けNHKニュースへ:

宮城県は、東日本大震災からの復興について、今後10年間の計画の最終案を固めました。震災を次の世代に伝えるための施設を建設する事業などが新たに盛り込まれています。

この最終案は、宮城県が県民や有識者からの意見も踏まえて策定したもので、「復旧にとどまらない抜本的な再構築」などを基本理念に、平成32年度までの10年間で341の事業を計画しています。新たに盛り込まれたのは、震災を次の世代に伝えるために「震災・津波博物館」を建設し、周辺を「メモリアルパーク」として整備する事業です。また、原発事故の影響の広がりを受け、牛肉やコメ、魚などについて放射性物質の検査体制を強化する計画も新たに盛り込みました。一方、津波への対策としては、沿岸部の住宅地を高台に移転し、生活と仕事の場を分ける「職住分離」を進め、高い盛り土の上に道路や鉄道を整備したり、避難するための高層のタワーを建設したりする計画です。水産業の復興については、県内に142ある漁港の3分の1程度を「沿岸拠点漁港」に指定し、周辺の漁港の機能を集約して優先的に復旧させるとし、漁業権を開放して民間企業の漁業への参入を促す「水産業復興特区」の創設については、漁協などからの反対を背景に、検討課題にとどめました。宮城県は、この最終案を17日の震災復興本部会議で明らかにしたうえで、来月の県議会に提出することにしています。

Tuesday, August 16, 2011

福島県の農林水産物の放射能測定検索ページ

福島県が作成。福島県庁 農林水産部 環境保全農業課 発表のデータに基づいて表示、とのこと。

リンクはこちら。

http://www.new-fukushima.jp/monitoring.php

産品別、あるいは地域別で検索できます。

ABCニュースで除染計画が報道された南相馬市を見てみると、放射性セシウムの量は、

小麦: 270ベクレル/キロ
みょうが: 270ベクレル/キロ
ニベ(魚): 300ベクレル/キロ
日本なし: 46ベクレル/キロ
びわ: 530ベクレル/キロ
しいたけ: 106ベクレル/キロ

また、基準値以下ですが、海の魚全般に出ています。魚では淡水魚の鮎が一番高く、1770ベクレル/キロ。野菜で一番高いのは6月に検査されたたけのこで、2800ベクレル/キロ。

詳しくはサイトで検索してみてください。但し、サンプルがどれほどの大きさ、量だったのか、いくつ取ったのか、相馬市のどこの農場から取ったのか、などの情報はありません。

Monday, August 15, 2011

米国ABCニュース:南相馬市の除染計画

東大児玉教授が協力してきた福島県南相馬市の除染計画を、アメリカのABCニュースが記事にしています。茶とらさんにさりげなく渡したらちゃんと日本語訳に化けていました。

オリジナル記事(英文)はこちらです。

東京茶とら猫さんの日本語訳全文はこちらです。

以下、日本語訳からの抜粋:
*********************************

ABCニュース
2011年8月12日
記事:フジタ・アキコ

ボランティアたちに話をする児玉龍彦の声は震えた。ここは南相馬市の石上第一幼稚園。事故を起こした福島第一原発から約25キロの距離にある。

児玉は東京大学のアイソトープセンター長だ。学校を除染する方法を住民に指導している。これまでに何度も同じ説明をしてきたが、マスクをつけた母親や、線量計片手にメモを取る父親の姿を見るたびに、涙が込み上げてくる。

「これはすべて皆さんの健康を守るためです」と児玉は説明する。「皆さんにも皆さんの健康にも悪影響が出ないようにしたいんです。私たちが子供を守らなくてはなりません」

児玉は南相馬市との共同プロジェクトを率いて、政府が定めた強制避難区域のすぐ外側の地域で除染作業に当たっている。参加するボランティアとともに、市内のあらゆる幼稚園や学校の放射線量を下げて、最も影響を受けやすい子供たちがこの秋に戻ってこられるようにするという、壮大なプロジェクトだ。

そのためには、空中から測定して地面の線量を調べ、汚染状況の地図をつくり、それに応じた除染をするようにボランティアの訓練をしなくてはならない。除染はじつに骨の折れる仕事だ。何時間もかけて高圧洗浄機で壁を洗い、遊具を洗い、汚染のひどい校庭の土をシャベルで取り除く。デッキブラシで屋根をこすり、作業を少し進めるごとに放射線量を測定する。これを何度も繰り返して、線量が毎時0.1ミリシーベルト未満になるまで続ける。このレベルなら子供に安全とみなされている。

政府が指針を示さないことに業を煮やして、南相馬市は数千万円の予算を組み、ボランティアを中心に児玉のチームの支援のもとに除染を進める計画を立てた。コワタ・ユカリはそうしたボランティアのひとりだ。彼女の自宅は福島第一原発から16kmのところにある。3月に政府の避難命令が出てから、高齢の両親とともに仮設住宅で暮らしてきた。

「この辺りに放射能が5年も10年も残るようなら、共存していくすべを身につけないといけません」とコワタは語る。コワタは南相馬市の職員で、幼稚園や保育園を監督する仕事をしている。「子供たちに戻ってきてほしいなら、子供にとっても安全な場所にするための方法を見つけなくては」

チェルノブイリ原発事故の影響を10年間調査したジョージア大学のチャム・ダラス教授は、福島の学校で全体的な線量が下がったとしても「ホットスポット」は残ると指摘する。南相馬市の除染方法は短期的には効果があっても、危険なほど高線量の地域では高圧洗浄やブラシでこすることが適切な解決策とはいえないとも話す。

「チェルノブイリでも同じことをしましたが、うまくいきませんでした」とダラスは語る。「放射性核種があちこちに移動するだけです。5年たったらまた除染、10年たったらまた除染。25年たってもまだ放射性核種の処理をする羽目になります。移動するに任せるのではなく、最初の年に取り除くこともできたのに、です」

南相馬市の学校から放射能をなくすには、多面的な対策が必要だと児玉は言う。それでも彼のプロジェクトは立派な前進だ。これまでの政府の対応よりは一歩先を行っている。

ボランティアが仕事を終えて帰り、誰もいなくなった教室で、児玉は放射線量を測っている。天井にガイガーカウンターを向け、針が止まるのを待つ。そして微笑んだ。カウンターは「0.12」を指している。2週間前の線量と比べると60%下がった。

ささやかな勝利。だが児玉はこの戦いが今後何十年も続くと考えている。

「南相馬市については私たちはほとんど心配していません」と児玉は語る。「ですが、福島原発のすぐ近くにある市については、場所によっては50年は人が住めないかもしれませんね」

*************************
私が個人的に引っかかるのは3点。

南相馬市が行っているのは児玉教授の言う「緊急の除染」ですが、これをもってどうも「恒久的な除染」として南相馬市が扱っているふしがあること。つい先日も、住民の内部被曝調査で最高は1ミリシーベルト、それも一人だけ、だから南相馬市内は「生活に支障ない環境」、という発言を、南相馬市長はなさっていました。

2点目は、チェルノブイリの調査をしたアメリカの学者が、チェルノブイリ事故でも同様の除染(高圧洗浄機、デッキブラシ、土の削り取りなど)をしたが効果はなかった(オリジナル英文:”it didn't work”)、としていること。放射能が次の場所に移動するだけだ、と。福島第1原発から広範囲に出てしまった放射能が他の市町村から風、雨、水に運ばれて移動してくれば、せっかく南相馬がきれいにしてもまた除染のやり直し。南相馬から出て行く放射能は他の市町村に移動。

確か国会証言では、児玉教授は、取り除いた放射性の土を東京まで持って帰ってきている、とおっしゃっていましたが、その持って帰ってきた土はどうなるのでしょうか。この場合、放射能が南相馬市から東京(のアイソトープセンター)に長距離移動したということになります。

最後の1点。記事の中で、ボランティアの方が「この辺りに放射能が5年も10年も残るようなら、共存していくすべを身につけないといけません」とおっしゃっていますが、放射能と共存など、可能なのでしょうか。彼女が何を指して「共存」と言っているのか、分かりませんが、外部自然放射線がせいぜい毎時0.03マイクロシーベルト程度だった地域でずっと暮らしてきた人々に、5年10年で人工放射線からの外部、内部被曝に対処する進化などが起こるとも思えません。(まあ、起こる事を期待している某教授もいらっしゃるかもしれませんが。)

第一、5年10年で済むとも思えません。セシウム137、ストロンチウム90の半減期は約30年、プルトニウムに至っては、人間の時間感覚では把握できない半減期です。

薄く、広く、放射能を全国(全世界)に拡散してしまえば何とかなる、と政府も思い、そのように着々と布石を打ち、国民も半ばあきらめているような気配があるのが感じられます。

Sunday, August 14, 2011

震災被災地のがれき焼却処分に手を上げた全国の自治体名

この方のブログに、週間AERA8月8日号に載っていた、としてリストが載っていました。

国会では、普通のがれき法案は衆院、参院とも可決、今週には、福島の放射能汚染がれきを国の責任で収集、処分できるようにする、という、民主・自民・公明三党による法案が提出され、今期国会で成立を目指すとのこと。この三党で、衆議院の議席の92パーセント、参議院の85パーセントを占めますから、賛成多数でもう成立は目に見えています。

がれき焼却に手を挙げているのは、せっかく原発の汚染が少なくて済んでいる北海道、関西、中国、四国、九州、既に汚染している東北、関東、中部、北陸の、35都道府県。要するに、列島全域です。

もちろん、全てのがれきが放射能に汚染されているとは限りません。しかし、原発から185キロ離れた陸前高田のがれきからキロ当たり最高1480ベクレルの放射性セシウムが検出されています。

(以下、バンビの独り言ブログからのリスト)

【北海道】
札幌市、函館市、根室市、標茶町、幌加内町、大空町、清里町、登別市、北十勝2町環境衛生処理組合、根室北部廃棄物処理広域連合、釧路広域連合、愛別町外 3町塵芥処理組合、大雪清掃組合、北斗市、苫小牧市、石狩市、千歳市、十勝環境複合事務組合、平取町外2町衛生施設組合、日高中部衛生施設組合、室蘭市日 鐵セメント株式会社

【秋田】
大館町エコシステム秋田、秋田市、にかほ市、仙北市、横手市、能代山本広域市町村圏組合、八郎湖周辺清掃事務組合、大仙美郷環境事業組合、湯沢雄勝広域市町村圏組合

【山形】
西村山広域行政事務組合、東根市外二市一町共立衛生処理組合、最上広域市町村圏事務組合、置賜広域行政事務組合、酒田地区広域行政組合

【群馬】
前橋市、桐生市、神流町、草津町、渋川地区広域市町村圏振興整備組合、吾妻東部衛生施設組合、西吾妻衛生施設組合、利根東部衛生施設組合、大泉町外二町清掃センター

【埼玉】
さいたま市、川越市、所沢市、飯能市、加須市、春日部市、狭山市、入間市、桶川市、坂戸市、川島町、蓮田市白岡町衛生組合、志木地区衛生組合、彩北広域清掃組合、秩父広域市町村圏組合、埼玉中部環境保全組合

【東京】
東京二十三区清掃一部事務組合+多摩市町村及び一部事務組合+1都3県産廃処理施設

【神奈川】
横浜市、川崎市、 横須賀市、藤沢市、茅ヶ崎市、逗子市、大和市、南足柄市、箱根町、厚木市、相模原市、小田原市、泰野市伊勢原市環境衛生組合、高座清掃施設組合、足柄東部清掃組合、足柄西部清掃組合

【富山】
高岡市、氷見市、射水市、富山地区広域圏事務組合、新川広域圏事務組合、砺波広域圏事務組合

【石川】
金沢市、輪島市、加賀市、七尾鹿島広域圏事務組合、羽咋郡市広域圏事務組合、白山石川広域事務組合

【山梨】
峡南衛生組合、甲府市、山中湖村、笛吹市

【岐阜】
大垣市、高山市、多治見市、中津川市、瑞浪市、山県市、下呂市、岐阜鳥羽衛生施設組合、可茂衛生施設利用組合、南濃衛生施設利用事務組合

【静岡】
伊東市、函南町、志太広域事務組合、牧之原市御前崎市広域施設組合、袋井市森町広域行政組合

【愛知】
蒲郡市、刈谷知立環境組合、尾三衛生組合、尾張東部衛生組合、稲沢市、北設広域事務組合、豊川市

【三重】
いなべ市、四日市市、鈴鹿市、亀山市、津市、鳥羽市、志摩市、尾鷲市、紀北町、熊野市、伊賀南部環境衛生組合、桑名広域清掃事業組合、伊勢広域環境組合

【滋賀】
草津市、栗東市、彦根市、中部清掃組合、湖北広域行政事務センター、大津市

【京都】
亀岡市、船井郡衛生管理組合、京都市、伊根町

【大阪】
岸和田市貝塚市清掃施設組合、吹田市、高槻市、枚方市、茨木市、岬町、柏羽藤環境事業組合、泉南清掃事務組合、泉佐野市田尻町清掃施設組合、東大阪都市清 掃施設組合、箕面市、摂津市、寝屋川市、豊中市、熊取町、堺市、四條畷市交野市清掃施設組合、泉北環境整備施設組合、池田市、門真市、大阪市

【兵庫】
神戸市、姫路市、尼崎市、明石市、西宮市、洲本市、芦屋市、相生市、豊岡市、加古川市、宝塚市、三木市、高砂市、三田市、加西市、篠山市、養父市、丹波 市、南あわじ市、朝来市、淡路市、播磨町、佐用町、香美町、新温泉町、揖龍保健衛生施設事務組合、中播北部行政事務組合、洲本市・南あわじ市衛生事務組 合、小野加東環境施設事務組合、くれさか環境事務組合、猪名川上流広域ごみ処理施設組合

【奈良】
大和郡山市、天理市、生駒市、田原本市、南和広域衛生組合、十津川村

【和歌山】
和歌山市、御坊広域行政事務組合、岩出市、田辺市

【鳥取】
鳥取中部ふるさと広域連合、日野町江府町日南町衛生施設組合、三光株式会社境港市

【島根】
浜田地区広域行政組合、海士市、松江市

【岡山】
岡山市、倉敷市、玉野市、新見市、備前市、真庭市、岡山県西部環境整備施設組合、岡山県井原地区清掃施設組合、総社広域環境施設組合

【広島】
広島市、福山市、呉市、尾道市、大竹市、山県郡西部衛生組合、広島中央環境衛生組合、安芸地区衛生施設管理組合、庄原市、廿日市市

【山口】
岩国市、山陽小野田市、周南地区衛生施設組合

【徳島】
徳島市、北島町、中央広域環境施設組合

【香川】
高松市

【愛媛】
西条市、内山衛生事務組合、新居浜市、株式会社イージーエス・新居浜市、オオノ開發株式会社・東温市

【高知】
香南清掃組合、高吾北広域町村事務組合、四万十町、嶺北広域行政事務組合

【福岡】
宮若市外二町じん芥処理施設組合、筑紫野・小郡・基山清掃施設組合、北九州市、八女市、糸島市、甘木朝倉三井環境施設組合、うきは市

【長崎】
県央県南広域環境組合、五島市、東彼地区保健福祉組合、長崎市

【熊本】
熊本市、大牟田・荒尾清掃施設組合、天草市、山都町、天草広域連合、水俣芦北広域行政事務組合、阿蘇広域行政事務組合

【大分】
佐伯市、豊後高田市、豊後大野市、国東市、別杵速見地域広域圏事務組合

【宮崎】
都城市、延岡市、串間市、えびの市、宮崎市

【鹿児島】
伊佐北姶良環境管理組合、南薩地区衛生管理組合、大隅肝属広域事務組合、霧島市、いちき串木野市、鹿児島市

陸前高田の松、千葉の成田山新勝寺でおたき上げ

ニュースについているコメントを見ると、陸前高田の松を結局使用中止にした京都市を非難する語調の強さにちょっと驚きます。どうせ日本中汚染されているんだから今更何を騒いでいるんだ、というコメントも。

東日本に比べたら西日本の汚染度は圧倒的に低いのです。低い場所はこれからも出来るだけ低くとどめるべきで、いくら微量でもわざわざ放射能を広げる可能性のあることをする理由などありません。

供養は気持ちではないのでしょうか?

時事通信8月15日付け記事

東日本大震災の津波で流された岩手県陸前高田市の名勝「高田松原」の松の一部が来月、千葉県成田市の成田山新勝寺で供養される見通しとなったことが15日、分かった。同寺の僧侶が慰霊法要で被災地を訪れた際、宗派が同じ陸前高田市の金剛寺から依頼され、受け入れを決めた。

 松は金剛寺が用意し、新勝寺の9月25日の「おたき上げ」で、願い事が書かれた札「護摩木」とともにたかれる。同寺の担当者は「震災で亡くなられたみ霊の供養が大切。表皮を削り検査もした上で送られて来るので、安全性に問題はない」と話している。 

成田山は、3箇所ある真言宗智山派の大本山の一つです。

Saturday, August 13, 2011

赤旗:「原発作業員、福島第1は別枠、他の原発移動時に被曝線量ゼロに」

8月14日付け日刊赤旗記事の写真。

記事が本当なら、福島第1原発で作業後他の原発に移る作業員の線量は、福島第1での仕事がなかったことにされる、ということになります。

画像をクリックすると、Twitpicのサイトで大きな画像でお読みになれます。

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「自然放射線と人工放射線の違い」ではなく、「自然放射性核種と人工放射性核種の違い」を考えるべき

(市川定夫埼玉大学名誉教授の講義ビデオから。)

地球上の生物は、進化の過程で自然放射線にどのように適応して生き延びるかを学んできた。学べなかった生物は死に絶えた。ところが、原子爆弾、更に原発のようなものが出来、生物は進化の過程で遭遇してこなかった人工放射線、人工放射性核種にさらされる羽目になった。

それでも原発を推進するために、推進派は、「自然放射線も人工放射線も同じです」と言い始めた。しかし、本当に比べるべきは、「自然放射性核種と人工放射性核種」である。

カリウム40という放射性物質は天然に存在する。進化の過程で、生物はこのような危険な自然放射性核種を体内に貯めないで排出する、つまり濃縮しない、ということを学んできた。

天然にはヨウ素というものが存在する。これは非放射性である。そこで、生物はこの安全な物質を取り込んで甲状腺に貯め、利用してきた

こういう安全だった元素に、人工の放射性核種を作ってはいけない。そういうことをすると、生物はこれを濃縮する。セシウムも、ストロンチウムも、天然のものは非放射性で、入ってきても一向に構わない。ところが放射性のストロンチウムを原子炉で作ってしまうと、これは骨の中に入り、放射線を出し続ける。

進化の過程で遭遇してきたものには我々は適応できる。しかし、原子炉が出来て初めて出来たような人工放射性核種には対応できず、このような核種を濃縮、蓄積する。

原子力推進派はこれを知られたくない。そこで、話を「放射線」にすりかえた。人工放射線も自然放射線も所詮は同じアルファ線、ベータ線、ガンマ線を出すのだから、影響は同じだ、という風に。

しかしそうではなかった。「放射線」が同じか違うかではなく、「放射性核種」が我々の中で蓄積するかしないかなのだ。

自然放射性核種は濃縮、蓄積しない。人工放射性核種は濃縮、蓄積する。

以上、私が取った講義ノートです。講義は下のビデオでご覧になれます。講義をしているのは、多分まだお若い時の市川定夫埼玉大学名誉教授、微量放射線が遺伝に及ぼす影響の研究で知られる方です。私が市川教授の名前を知ったのは、英語ブログのポストに付いたコメント。何でも、教授は、ムラサキツユクサの花の色が放射能を浴びると変色する、ということを発見したそうで、以来、原発の周りにムラサキツユクサを植えて放射能の検知の一助となっているとか。


このほかの市川教授のビデオはこちらです。いずれも15分ほどの長さです。チェルノブイリ事故から1年?後に作られたビデオのようです。

http://youtu.be/-CeLnWq8rjs
 放射能はいらない 1/4
http://youtu.be/iBc0fDgScnI 放射能はいらない 2/4
http://youtu.be/FSQMLt-E6T4 放射能はいらない 3/4
http://youtu.be/KxeS4i02sv4 放射能はいらない 4/4

遅ればせでも何でも、ビデオをアップした人たちに「今更!」と言われようとなんだろうと、見て、学びましょう。

Thursday, August 11, 2011

政府・福島県の、福島「医療特区」構想

今福島の人たちに必要だ、と私が素人考えで考えることは、

  1. 福島原発からの放射性物質放出を完全に止める方策を早急に講じること

  2. 出てしまった放射性物質の除染を、直ちに専門家を動員して行うこと

  3. 高放射線量の地域の人々を今からでも避難させること

ところが、先見の目がある政府、県はさすがに違います。そのようなことは、
  1. 一企業である東電に全部任せる

  2. ゴム長靴と高圧洗浄機と手袋の、市民ボランティアに任せる

  3. 避難区域を一部解除して、市民を戻らせる

そのかわり、政府、福島県は、福島に「医療特区」と称するものを設定し、薬事法を福島県だけ緩和してでも製薬会社、医療機器メーカー、国立系の研究所などを誘致し、今年度の第3次補正予算だけでも100億円を計上するのだそうです。

福島第1原発と格闘中の東電に金を出しても別に儲からないし、放射能除染も金がかかるばかり、住民の避難も金がかかる。政府、県に見返りはない、そんなことに金を使うのはばからしい、とでも思っているのでしょうか。それより大規模プロジェクトの利権、名声。

例の山下さんのいる福島医大には、県内の症例を集めたデータベースセンターが出来るそうです。言わずと知れたことですが、医薬品、医療機器などは、臨床試験が必要です。臨床試験検体ごと、福島県に取り込もう、という構想でしょうか。

日経新聞8月12日付けの、会員限定の記事

政府と福島県で検討を進めている医療特区制度の概要が明らかになった。薬事法の規制を県内に限って緩和し、医療機器の製造・販売への新規参入を促す。県内の病院に症例を集めたデータセンターや、再発ガンの研究所を設置し、医薬品や医療機器のメーカー、研究者などを誘致する。政府は2011年度第3次補正予算案で約100億円を計上する見通しだ

(ここまでは誰でも読める部分。以下が、会員のみ。血圧上がる方もいらっしゃるかと思いますので、落ち着いてお読みください。)



東京電力福島第1原子力発電所の事故に伴う避難勧告や風評被害で、福島県内の産業は大きな打撃を受けた。福島県からの要望を受け、医療を地元の産業の新たな柱とし、震災からの復興につなげる。

薬事法では医療機器の製造や販売をする際、3年以上の経験がある社員の雇用が義務付けられている。医療特区制度によって、この規制を県内に限って緩和する。新たに開発した機器を検査する費用も政府が補助し、高い技術を持つ中小企業などが医療産業に参入しやすいようにする。

医療機器に求められる安全性については、県が研修会を開き、独自に認定試験を実施するなどして担保する。

研究開発拠点の整備も進める。福島県立医大に県内の症例を集めたデータセンターを設置。症例データは医薬品の開発には不可欠で、メーカーの誘致につなげる

総合南東北病院には、中性子線を使ってがん細胞のみを殺す治療法「ホウ素中性子捕捉療法」(BNCT)の臨床研究拠点を創設し、京都大や筑波大の研究者が参加する。BNCTは治療が難しいとされる再発がんへの効果が大きいとされ、国内外から治療を望む患者が集まるとみられる。患者の家族や見舞客が訪れることで、経済効果も見込まれる

政府は7月29日にまとめた復興基本方針に「福島県に医療産業を集積し、世界をリードする医薬品・医療機器・医療ロボットの研究開発、製造拠点とする」と明記。福島県や医療関係者と協力して詳細を検討していた。

世界をリードする医薬品・医療機器・医療ロボットの研究開発、製造拠点。なんと空しい言葉でしょう。

それほど世界に冠たる名誉が欲しいなら、原発からの放射能を完全に止めて、汚染された国土を全て除染して、住民の健康を守るために避難させてみたらどうですか。そのためならいくらでも協力する人々が日本だけでなく、世界にもまだ沢山いると思いますが、こんな茶番を日本政府が続けていたら、日本がどうなろうと、今に誰も気にも留めなくなります。

しかし、福島市も郡山市も放射線レベル、高いんですが、がん患者へのホルミシス効果でも期待するんでしょうか。

(H/T東京茶とら猫。茶とらさんもこの記事をポストにしていますが、読んで血圧が上がりすぎたせいか、記事のリンクだけに留められたようです。私は先に英語ブログで記事にして、血圧は多少下がりましたので記事以外にも書いてみました。)

山下俊一:「国の基準が20ミリシーベルトということが出された以上は、われわれ日本国民は日本政府の指示に従う必要があります」

この人はこんなことを福島の人たちに言っていたんですねえ。

国が生涯被曝100ミリシーベルトと言ったなら100ミリシーベルトに従い、食品の放射性セシウムが500ベクレルまで安全と言ったらそれに従い、がれきは10万ベクレルまで安全、と言ったらそれに従って文句も言わずがれきを埋める。それが国民の務めなのです。

撃ちてし止まん。欲しがりません勝つまでは。

ビデオの最初の3分の2は東大の児玉龍彦教授の最近のテレビ出演のビデオです。2分30秒過ぎから、山下『ダマシタ』俊一教授が登場。



山下教授の言葉を、児玉教授の言葉と比べてみてください。

「日本の国民ってそんなにバカじゃないです。ぼく見てて真面目です。しっかり考えてくれています。だから本当のことを言って、やっぱり専門家が本質論をやる。それで初めて専門家が信頼されるし、事態が回避される。」

「みんなが専門家に聞きたいのは何も政治家みたいに折り合いをつけることじゃなくて、専門家は危険を危険だと」

「今までの原子力学会や原子力政策のすべての失敗は、専門家が専門家の矜持を捨てた」ことにある。

同じ「教授」、同じ放射線医でも、えらい違いです。

Wednesday, August 10, 2011

原子力発電入門シリーズ By 院長先生

院長先生が、原子力発電の入門シリーズを書かれています。私もただいま読んで勉強中。原発反対、推進にかかわらず、原子力発電がどのように行われるものなのか、メカニズムを知ることで、今後原発のトラブルがあったときにも(福島が最後とはどうしても思えません)いわゆる「専門家」の言だけに頼ることなく、状況を判断できるようになるのでは、と思います。



原子力発電入門(1)発電方法 [2011/08/06 20:51]
原子力発電入門(2)もっとも効率が悪い発電方式 [2011/08/07 18:28]
原子力発電入門(3)原子力-莫大なエネルギーの見返りは放射能 [2011/08/08 21:25]
原子力発電入門(4)ウラン燃料精錬-いったいどこがエコ?2011.8.9
原子力発電入門(5)なぜ、海に面しているのか?2011.8.10

そうそう、源八とたま、もありましたね。


出荷ピークの福島産のモモ、市民放射能測定所による検査では放射能検出

共同通信8月10日の記事によると、

原発事故による農産物への風評被害が深刻な福島県で、生産量全国2位を誇るモモの主力品種「あかつき」が出荷ピークを迎えている。福島市飯坂町湯野にあるJA新ふくしまの作業場では10日、朝から形や色の選別、箱詰め作業に追われた。

 放射性物質のモニタリング調査では暫定基準値を大幅に下回り、生産者らは安全性をアピール。加えて、今年は7月の天候が良かったため、糖度が高く出来の良いモモが多いという。

 JA新ふくしまは7~9月、1箱5キロのモモを約130万箱出荷予定。10日は約130人が深夜まで作業を続け、約1万6千箱を出荷する。

とのこと。「基準値を大幅に下回り」とありますが、民間の市民放射能測定所が測定したモモ、その他の果物の放射性物質は次の通り。本来限りなくゼロに近いはずの放射性セシウムは、モモでは多いものでキロ当たり160ベクレル出ています。伊達市のブルーベリーからは更に高い、164ベクレル。

(詳細は市民放射能測定所のサイトでどうぞ。)


検査されたモモ、ブルーベリーのように暫定基準値の約3分の1の放射性セシウムを含む食品を1年間食べ続ける、と言うことは、暫定基準値が既にセシウムからの内部被曝を年間5ミリシーベルトとして計算された値であるため、たとえ暫定基準値を下回っていても年間内部被曝は5ミリシーベルトの3分の1、約1.67ミリシーベルト、それだけで年間許容被曝量1ミリシーベルトを軽く超えます。

更に、食品だけでなく、放射能汚染されている可能性のある被災地からのがれきを、国が主導して処分しようという恐ろしい法案が可決される見込み。こうなると、流通の発達した日本、というのは放射能の拡散にうってつけ。この方のブログには、九州全域のごみ処理場をグーグルで視覚化したものが出ていますが、既に地方自治体はごみ処理に積極的な姿勢を示しています。

(放射能拡散の危険を補って余りある、どんな利権があるのでしょうか。)

Tuesday, August 9, 2011

陸前高田の放射性がれきと京都の送り火

今年も去年と同じだと思いたい努力、福島原発事故は起こらなかったことにしたい気持ちと、現実に検出される放射性物質は、折り合いがつくのでしょうか。

京都の五山送り火に陸前高田の薪を使う、使わないでもめているようですが、陸前高田のがれきからは放射性物質が検出されています。処分してもよい暫定基準値(キロ当り8000ベクレル)以下ですが、本来出るはずもないものです。

まず読売新聞8月10日付け記事

「京都五山送り火」(16日)を運営する京都五山送り火連合会は、大文字以外の4山で岩手県陸前高田市の松で作った薪500本を16日の送り火で燃やすことを決め、京都市は10日、受け入れの準備を本格化させた。

 京都市にはこの日朝から電話が相次ぎ、数十件の意見が寄せられた。「なぜ1回断ったのに受け入れるのか」「経過を教えてほしい」「放射能汚染が心配」などの批判と、「被災地の思いを受け止めるとの決断を支持したい」などの評価が交じっていたという。

 市によると、11日午後3時に薪500本が市役所に届き、放射性物質がないかを検査で確認した後、市民らに震災犠牲者の冥福と被災地復興を祈るメッセージなどを書いてもらうという。

 門川大作市長は報道陣に「多くの方々にご心配をかけ、悲しい思いをさせてしまったが、五山送り火連合会の前向きな姿勢に感謝している。できれば大文字も含めた五山で一緒に参加し、復興と鎮魂を祈る場としてほしい」と話した。

そして産経新聞8月10日付け記事

岩手県は10日、東日本大震災で生じた陸前高田市のがれきから、1キログラム当たり1480ベクレルの放射性セシウムが検出されたと発表した。県は埋め立てが可能とされる国の暫定基準値(1キログラム当たり8千ベクレル)を下回っており、通常通り焼却処理するとしている。

 県は6月29日から7月13日、沿岸被災地のがれきを処理する際、陸前高田市、宮古市、野田村で、がれきに含まれる紙や繊維などを調べた。

 最も高い1480ベクレルが検出されたのは7月12日に採取した陸前高田市の仮置き場に置いてある繊維。同じ場所のプラスチックから510ベクレル、わらからも177ベクレルが検出された。宮古市の木くずからは135ベクレル、野田村ではちりから33ベクレルが検出された。

Monday, August 8, 2011

「福島市、放射性土を密かに埋め立て」元日本語記事の画像入手

8月7日に出したポスト、「福島市、放射性土を密かに埋め立て」の、元記事の画像を読者の方が送ってくださいました。ありがとうございます。朝日新聞8月5日朝刊の35面、だそうです。また、朝日の地方版をお読みの方からは、地方版には出ていなかった、とのこと。地元紙にもニュースはなく、朝日の取材なので他社は遠慮したのでは、とのコメントも。

画像のリンクはこちら

英文記事は日本語記事の直訳ではなく、情報を出す順番が異なっています。内容的には同じですね。

記事をクリックすると拡大されます。




首都圏132箇所、土壌放射能汚染民間調査結果

木下黄太さんの放射能防御プロジェクトブログ、8月8日付けポスト

============

全体のデータは© 放射能防御プロジェクト Radiation Defense Projectになります。

採取日 採取場所 採取住所 / ヨウ素131 /セシウム134/ セシウム137/ セシウム合計/ セシウム合計×65/ チェルノ区分
Bq/kg表示をBq/m2に換算しています。換算は×65 (*1)

1 2011.06.14 植え込み江戸川区東葛西ND 334 397 731 47515 第4
2 2011.06.03 植え込み江戸川区臨海町ND 1571 2122 3693 240045 第3
3 2011.06.04 庭江戸川区東小岩ND 506 493 999 64935 第4
4 2011.06.10 庭北区堀船ND 63 75 138 8970
5 2011.06.04 公園北区田端ND 387 527 914 59410 第4
6 2011.06.03 庭北区赤羽北ND 249 400 649 42185 第4
7 2011.06.04 庭荒川区西日暮里ND 88 145 233 15145
8 2011.06.05 庭葛飾区金町108 1333 1357 2690 174850 第4
9 2011.06.04 空き地 台東区入谷ND 62 68 130 8450
10 2011.06.06 庭足立区花畑ND 101 121 222 14430
11 2011.06.04 庭足立区東和ND 735 972 1707 110955 第4
12 2011.06.05 植え込み板橋区加賀ND 0 24 24 1560
13 2011.06.10 植え込み・公園江東区毛利ND 299 360 659 42835 第4
14 2011.06.05 植え込み江東区森下ND 169 220 389 25285
15 2011.06.01 植え込み中央区佃ND 65 84 149 9685
16 2011.06.04 土手・植え込み千代田区六番町ND 323 416 739 48035 第4
17 2011.06.04 公園・植え込み港区西麻布ND 240 317 557 36205
18 2011.06.04 園庭港区南麻布ND 73 87 160 10400
19 2011.06.04 公園の砂場品川区荏原ND ND ND 0 0
20 2011.06.04 園庭品川区大崎ND 69 109 178 11570
21 2011.06.04 庭 大田区田園調布本町ND 311 357 668 43420 第4
22 2011.06.02 植え込み文京区小石川4丁目77 990 1510 2500 162500 第4
23 2011.06.02 植え込み 文京区小石川5丁目ND 9 16 25 1625
24 2011.06.01 庭 目黒区八雲ND 125 185 310 20150
25 2011.06.08 庭目黒区下目黒ND 70 117 187 12155
26 2011.06.04 庭渋谷区上原ND 136 182 318 20670
27 2011.06.03 植え込み世田谷区岡本ND 20 24 44 2860
28 2011.06.04 植え込み世田谷区下馬ND 93 157 250 16250
29 2011.06.03 河原世田谷区野毛ND 39 70 109 7085
30 2011.06.14 公園新宿区富久町ND 50 71 121 7865
31 2011.06.04 植え込み新宿区市谷砂土原町ND 527 564 1091 70915 第4
32 2011.06.05 公園杉並区高円寺北ND 67 82 149 9685


首都圏土壌調査結果
参考:チェルノブイリの区分
148万Bq/㎡~ (第1) 強制避難区域   直ちに避難、立ち入り禁止
55万5千Bq㎡~ (第2) 強制移住区域   移住(立ち退き)の義務がある
18万5千Bq/㎡~ (第3) 希望移住区域   移住の権利が認められる
3万7千Bq/㎡~ (第4) 放射線管理区域  不必要な被ばくを防止するために設けられる区域
採取方法:表面から5㎝を採取。砂場は表面から15㎝を採取。
測定方法:厚生労働省「緊急時における食品の放射性物質測定マニュアル」に準ずるγ線スペクトルメーターによる核種測定。
       検出限界1Bq。
© 放射能防御プロジェクト Radiation Defense Project

33 2011.06.04 河川敷杉並区成田東ND 46 49 95 6175
34 2011.06.04 庭杉並区荻窪ND 16 15 31 2015
35 2011.06.05 庭杉並区松庵ND 127 146 273 17745
36 2011.06.01 植え込み中野区新井ND 85 96 181 11765
37 2011.06.04 公園中野区新井ND 198 216 414 26910
38 2011.06.05 植え込み練馬区東大泉9 329 377 706 45890 第4
39 2011.06.05 農地武蔵野市御殿山ND 14 20 34 2210
40 2011.06.01 庭三鷹市深大寺ND 103 118 221 14365
41 2011.06.14 庭府中市武蔵台ND 226 309 535 34775
42 2011.06.19 植え込み府中市白糸台ND 64 69 133 8645
43 2011.06.09 園庭調布市小島町ND 108 119 227 14755
44 2011.06.15 公園国分寺市東元町ND 14 16 30 1950
45 2011.06.15 庭国分寺市東戸倉ND 125 161 286 18590
46 2011.06.19 庭東久留米市南沢ND ND ND 0 0
47 2011.06.13 庭小平市津田町ND 159 161 320 20800
48 2011.06.13 庭多摩市桜ヶ丘ND 22 32 54 3510
49 2011.06.10 庭八王子市下恩方町ND 34 39 73 4745
50 2011.06.14 庭八王子市七国ND 133 147 280 18200
51 2011.06.15 庭武蔵村山市学園ND 98 112 210 13650
52 2011.06.16 庭清瀬市野塩ND 133 160 293 19045
53 2011.06.15 庭小金井市東町ND ND ND 0 0
54 2011.06.13 畑あきる野市引田ND 110 134 244 15860
55 2011.06.08 庭羽村市緑が丘ND 73 89 162 10530
56 2011.06.12 庭東大和市立野ND 149 190 339 22035


※2009年度のセシウム137年間平均値→東京都新宿区で1.5Bq/kg (*2)

57 2011.06.13 庭市川市八幡ND 140 196 336 21840
58 2011.06.04 庭市川市東大和田ND 155 177 332 21580
59 2011.06.28 園庭松戸市紙敷ND 3285 3728 7013 455845 第3
60 2011.06.05 庭松戸市松戸ND 1608 1571 3179 206635 第3
61 2011.06.10 庭柏市あけぼのND 666 714 1380 89700 第4
62 2011.06.15 庭柏市松ヶ崎ND 919 1077 1996 129740 第4
63 2011.06.09 庭流山市江戸川台東ND 764 952 1716 111540 第4
64 2011.06.05 公園八千代市緑が丘ND 552 747 1299 84435 第4
65 2011.06.04 植え込み八千代市村上南ND 595 649 1244 80860 第4
66 2011.06.07 公園の砂場千葉市花見川区花見川ND 66 92 158 10270
67 2011.06.05 植え込み千葉市中央区新宿ND 198 253 451 29315
68 2011.06.05 庭・植え込み美浜区打瀬ND 187 202 389 25285
69 2011.06.04 畑夷隅郡大多喜町小内ND 79 93 172 11180
70 2011.06.05 庭 勝浦市杉戸ND 104 132 236 15340
71 2011.06.05 庭 佐倉市城ND 379 478 857 55705 第4
72 2011.06.07 庭佐倉市白銀ND 96 132 228 14820
73 2011.06.04 庭四街道市物井ND 443 619 1062 69030 第4
74 2011.06.07 畑富里市十倉ND 264 283 547 35555
75 2011.06.03 畑いすみ市鴨根ND 85 103 188 12220
76 2011.06.11 畑茂原市南吉田ND 41 61 102 6630

77 2011.06.06 庭山武郡大綱白里町みどりが丘 ND ND ND 0 0
78 2011.06.07 庭山武郡九十九里町粟生ND 19 25 44 2860
79 2011.06.06 海岸の砂山武郡九十九里町片貝海岸ND ND ND 0 0
80 2011.06.12 植え込み銚子市犬吠埼ND 45 51 96 6240
※2009年度のセシウム137年間平均値→千葉県市原市で0.98Bq/kg (*2)

81 2011.07.17 植え込み三郷市早稲田ND 6642 7498 14140 919100 第2
82 2011.06.05 庭・畑八潮市上馬場ND 953 1298 2251 146315 第4
83 2011.06.09 庭草加市花栗ND 108 131 239 15535
84 2011.06.07 庭さいたま市中央区円阿弥ND 60 71 131 8515
85 2011.06.07 庭さいたま市見沼区南中野ND 117 137 254 16510
86 2011.06.11 庭さいたま市浦和区岸町ND 75 83 158 10270
87 2011.06.05 庭さいたま市見沼区東大宮ND 240 322 562 36530
88 2011.06.05 庭・植え込み春日部市米島ND 49 58 107 6955
89 2011.06.07 駐車場志木市本町ND 170 234 404 26260
90 2011.06.04 公園ふじみ野市市沢ND 154 168 322 20930
91 2011.06.18 庭飯能市本町ND 189 216 405 26325
92 2011.06.09 校庭川越市大袋新田ND 259 333 592 38480 第4
93 2011.06.13 畑川越市砂新田ND 233 258 491 31915
94 2011.06.19 庭上尾市原市町ND 402 461 863 56095 第4
95 2011.06.10 庭鴻巣市大芦ND 23 36 59 3835
96 2011.07.17 空き地大里郡寄居町三ヶ山ND 113 123 236 15340
97 2011.06.05 植え込み深谷市西島ND 586 755 1341 87165 第4
98 2011.06.11 畑深谷市山河ND ND ND 0 0

※2009年度のセシウム137年間平均値→埼玉県さいたま市桜区で4.8Bq/kg (*2)

99 2011.06.17 庭川崎市麻生区上麻生ND 18 20 38 2470
100 2011.06.16 庭川崎市多摩区長沢ND 201 230 431 28015
101 2011.06.16 庭川崎市宮前区野川ND 119 137 256 16640
102 2011.06.14 庭川崎市麻生区岡上ND 100 111 211 13715
103 2011.06.08 公園横浜市南区弘明寺ND 59 71 130 8450
104 2011.07.07 植え込み横浜市西区宮ヶ谷ND 152 198 350 22750
105 2011.06.13 庭横浜市瀬谷区二ツ橋町ND 110 168 278 18070
106 2011.06.12 庭横浜市旭区鶴ヶ峰本町ND ND ND 0 0
107 2011.06.15 畑横浜市金沢区釜利谷西ND 120 153 273 17745
108 2011.06.15 庭横浜市神奈川区片倉ND 174 228 402 26130
109 2011.06.01 庭横須賀市港が丘ND 1051 1185 2236 145340 第4
110 2011.06.17 庭横須賀市田浦ND 192 228 420 27300
111 2011.07.03 庭逗子市新宿ND ND ND 0 0
112 2011.06.12 庭相模原市緑区西橋本ND 25 39 64 4160
113 2011.06.15 公園相模原市南区鵜野森ND 170 211 381 24765
114 2011.06.12 庭秦野市鶴巻南ND ND ND 0 0
115 2011.06.10 畑秦野市曽屋ND ND ND 0 0
神奈川
© 放射能防御プロジェクト 

116 2011.07.12 庭足柄下郡箱根町ND 149 198 347 22555
117 2011.06.13 庭小田原市東町ND ND ND 0 0
118 2011.06.14 庭小田原市南町ND 162 170 332 21580
119 2011.07.01 植え込み小田原市八幡ND ND ND 0 0
※2009年度のセシウム137年間平均値→神奈川県横須賀市で4.6Bq/kg (*2)

120 2011.06.07 庭龍ケ崎市大塚町ND 311 376 687 44655 第4
121 2011.06.28 庭取手市藤代ND 1481 1899 3380 219700 第3
122 2011.06.05 庭つくば市倉掛ND 683 809 1492 96980 第4
123 2011.06.06 庭つくば市古来ND 861 1020 1881 122265 第4
124 2011.06.06 庭石岡市大増ND 314 360 674 43810 第4
125 2011.06.08 庭日立市中成沢町ND 527 783 1310 85150 第4

※2009年度のセシウム137年間平均値→茨城県那珂郡東海村で60Bq/kg (*2)
126 2011.05.30 畑栃木県芳賀郡益子町大字芦沼 ND 61 75 136 8840
127 2011.06.04 畑栃木県真岡市物井ND 171 230 401 26065
128 2011.06.07 庭栃木県宇都宮市若草ND ND ND 0 0
129 2011.06.05 庭長野県北佐久郡軽井沢町大字軽井沢ND 151 225 376 24440
130 2011.06.08 庭山梨県南都留郡富士河口湖町ND ND ND 0 0

*1 原子力安全委員会によると、Bq/kgからBq/㎡に換算するには、65をかける
*2 文部科学省から委託を受けている財団法人日本分析センタ ーの「日本の環境放射能と放射線」より

都内でも、驚愕する高い数値が検出されました。

六万Bq/kg超えました。動くホットスポット。

この巣鴨は採取方法が違いますが、道脇の土砂みたいなところはチェルノブイリでも動くホットスポットとして知られています。こういう場所の危険がいたるところにあるとみられます。風で舞い上がります。
131 2011.05.14 道路脇の砂東京都豊島区巣鴨ND   28256   33457   61713
道路の縁石沿いに溜まっていた土砂を5/14頃に取り除いたものです。(事故以来一度も掃除していなかった場所)
葉っぱやゴミ、小石等を除き、処分せずに保管していたものです。採取方法が違いますが表面なので×50換算にしても
チェルノブイリの第一避難基準(強制避難エリア)です。

132 2011.06.04 植え込み東京都墨田区八広ND 1831   2423   4254   276510
歩道の植え込みの土を採取。植え込みの前には2階建ての建物の2本の雨どいがあり、雨水が常に流れ込む状況にある。
道路は、採取場所の方向になだらかな傾斜がある。

数百メートル違いで汚染に大きく差が出ている場所があります。この数字が=その地域の汚染ではありません。五百メートルメッシュで全域に土壌調査をするべきです。はっきり分かるのは、首都圏は放射性物質にかなり汚染されているということです。
まだらに汚染されている現実。高濃度と低濃度の汚染が共存しています。極めて危険だと思います。あ る程度被曝しているエリア(首都圏も入ります)の人、特に子ども、妊婦、妊娠可能な女性は、被曝線量の低い場所に退避すべきだと僕は思います。優先順位は 「避難する」ことです。僕はそれしか言う事ありません。慢性的に被曝することは避けるべきですから、できる限り早く退避することをすすめます。

検査機関は神奈川にある(株)同位体研究所になります。自治体などの土壌調査も行っている機関です。

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データ自体は「放射No!防御プロジェクト」サイトに出ています。

そこにはクリス・バスビー博士および京大の小出裕章氏のコメントが寄せられていて、好対照で興味深いものがありました。バスビー氏が、民間のしっかりした独立調査を評価し、勧めているのに対し、小出氏は、「被曝を規制するための多くの法令も意味を失い、私たちは変わってしまった世界で生きる以外にありません」とした後、生活に密着する調査を「行政にもとめるべき」との言。

「変わってしまった世界」でいまだ旧態然とした行政とはつきあいたくない、と個人的には思います。

Sunday, August 7, 2011

(アップデート:記事全訳はポストの最後)福島市、放射能汚染土、汚泥をすでに密かに埋め立て

(更に8月8日アップデート:元日本語記事の画像入手。こちらのポストです。)

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「8月5日付朝日新聞(東京本社版)朝刊第1社会面のトップに、上掲の写真とともに長行の記事がでていますから、「こんなニュースは日本の新聞、雑誌などで も見た記憶がありません」というのは、見てもお忘れになっていたか、あるいは見落とされていたかのどちらかではないかと思われます。
その事実誤認をもとに「「市民に知らせるな」という市の意向を汲んだのでしょうか?」などと論評なさるのは、いかがなものかと思います。」

とのコメントをいただきましたので、お知らせします。見ても忘れても見落としてもおりませんので、それだけお断りしておきます。(朝日新聞はこちらでは売っていないので見落としようもない、というのが実情。)朝日の紙面だけに載るニュースはネット上ではどこかに画像がない限り見ることはできませんので、もし画像をお持ちの方がいらっしゃったらアップしてリンクをコメント欄にポストしていただけると幸いです。ちなみに、朝日のオンラインのニュースには検索を掛けても該当のニュースらしき記事は出てきません。

長文の記事になっていて話題になった形跡は?

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福島第1原発の高放射性がれきが埋め立てられている?という言及をしていたガンダーセン氏のビデオを英語ブログにも出したところ、読者からリンクがコメント欄に。そのリンクを辿ったら、朝日新聞の英語サイト、Asahi Japan Watch (AJW)の8月5日付け記事に行きました。その記事のヘッドラインは何と、

福島市、放射性土を密かに埋め立て 
("City resorts to secret dumping to deal with piles of radioactive dirt", written by Noriyoshi Otsuki and Satoru Murata)

斜め読みしてみたら、

  • 福島市が行っている除染で出続ける放射能汚染土の処分方法について、なかなか国の方針が出てこないのに業を煮やした福島市は、密かに人里はなれた山の中に穴を掘って、袋に入った汚染土を埋め立てている。

  • この場所はあくまで「仮」で、市民に知らせてしまうと、ここに除染した後の放射能汚染ごみを持ってこられてはあっという間に一杯になりかねないから、と、福島市の職員。

  • 付近の住民にすら通知していないが、付近に孫2人を含む家族6人と住む74歳の男性は実際にダンプトラックが行き来するのを見ている。「仮」だと言われて信用できるか、と怒っている。

  • 7月下旬に、高線量の福島市渡利区の除染をした人が市の職員に、取り除いた高放射能汚染度土(6000袋近く)をどこに持っていくのか、と聞いたら、「そう簡単なことじゃないんですよ」と言われ、二度と聞かないように、と言われた。

記事には、写真まで出ています。穴は長さ25メートル、深さ2メートル、水泳プールといったサイズ。黒いプラスチックのようなものを敷き詰めた上に、ダンプトラックが土嚢をぶちまけています。敷地内には、既に埋められた後のようなところもあり、かなり前から行われていた模様。


こんなニュースは日本の新聞、雑誌などでも見た記憶がありません。朝日が、なぜこれをわざわざ英文でだけ出したのか。「市民に知らせるな」という市の意向を汲んだのでしょうか?

(夜中の1時半を過ぎていますので、軟弱ですがそろそろ寝ることにします。記事の日本語全訳は明日までお待ちください。このポストに書き足します。)

以下、日本語訳(H/T東京茶とら猫):

福島市が大量の放射性汚泥をひそかに処分
2011年8月5日

福島発――山の奥深く、長さ25m、深さ2m以上のプールのような四角い穴に、4トントラックが荷台からバーラップ(黄麻製の目の粗い布)の袋をいくつもどさりと落とす。

まもなくトラックがもう1台やって来て、やはり穴にバーラップの袋を山のように落とす。

最初のトラックに乗っていた男性作業員2人は、タイヤを水で洗い、鈍い音をたてながら消えていった。

福島市はこの場所の存在を公にしていない。付近に住む住民にも知らせていない。なぜならここは大量の放射性土、汚泥を捨てる場所だからだ。市民による清掃や、町内の除染作業で出たものである。

「(もしこの場所を公表したら)ほかの市民からのごみがここに殺到するおそれがありますので」と福島市の職員は語り、この場所はあくまで「一時的な」処分場だと強調した。

放射性汚泥が秘密裏に捨てられているのを目撃したのは朝日新聞だけではない。近くに住む74歳の男性は、2人の孫を含む家族6人と暮らしているが、これまで何台ものダンプカーが行き来するのを見たと語る。

「放射能に汚染された土をこんなに大量にもって来るなんて、絶対に反対だ。いくら市が『一時的』だといったって、このあとどうするつもりなのか考えているんだろうか?」

答えは今のところ「ノー」だ。

市の職員は自分たちも不満を抱えていると打ち明ける。放射性の土、汚泥を最終的にどこで処分するかを国が決めてくれないからだ。

原子力安全・保安院が7月に発行した除染マニュアルでは、廃棄物の放射性レベルが8,0000ベクレル以下であれば各自治体で埋めて構わないことになっている。ところが、最終処分地がどうなるかについてはマニュアルで触れられていない。

「方針を示す必要があることは理解している」と原子力安全・保安院の職員は言う。しかし、最終処分地を早急に決めようとしている様子は見られない。

決定が遅れているために、市が秘密裏に処分する結果につながった。

「廃棄物処分場を確保したくても、住民の同意を取り付けるのは難しい」と福島市の職員は語る。「こういう状況で具体的にどう対応すればいいかを国は明確に示してくれない」

この状況は今後も悪化の一途をたどる見通しだ。

7月28日にダンプカーがバーラップの袋を埋めていた場所は、福島市のごみ最終集積場から8kmほどのところにある。この日、1台目のダンプカーは、わずか20分で放射性土、汚泥入りの大量の袋で一杯になった。

福島県は、福島第一原発の事故で飛び散った町内の放射性物質を住民が除去することを奨励している。各町内につき最大500,000円の助成金も支払っている。

しかし除染作業が増えれば増えるほど、放射性の汚泥は溜まっていく。

7月24日の午前6時、福島市の渡利地区で3,753人もの住民と清掃会社の作業員が、側溝や排水溝から汚泥を掻きだす作業を始めた。

渡利地区は阿武隈川を挟んで福島県庁の向かいにあり、市のほかの地区と比べて高い放射線量が記録されている。

住民ボランティアたちはシャベルを使い、厄介者の泥をバーラップの袋に入れていた。

作業に参加していた60代の女性はこうこぼす。「原発の恩恵を受けていたのは東京の人たちなのに、ここに放射能が降ったために私たちが側溝の除染を押し付けられている」

除染作業は4時間で終わり、泥の入った5,853個の袋が高く積み上げられた。側溝の場所によっては放射線量が半分に下がったと職員の1人は話す。

67歳の町内会長は線量計に目をやり、こうつぶやいた。「心配していたとおりだ。数字が(許容)レベルを超えている」

数値は9.9マイクロシーベルト。その線量計で測れる最大値だ。

1人の住民が町内会長にあの袋はどこに行くのかと尋ねた。

「前に一度、市の職員に訊いたことがある」と町内会長は答える。「そう簡単に答えられることではないので、その質問はしないようにと言われたんだ」

(文:オオツキ・ノリヨシ、ムラタ・サトル)

Saturday, August 6, 2011

フェアウィンズ・アソシエーツ、アーニー・ガンダーセン:福島原発の致命的な高レベル放射線の意味するもの

福島第1原発1号機・二号機排気塔周辺から「シーベルト」単位で測らなくてはならないほどの高放射線が検出されたことを受けて、フェアウィンズ・アソシエーツのアーニー・ガンダーセン氏がビデオを出しています。

ガンダーセン氏の現在の考えでは、これは、3月のベント、更にその後も放射性物質の放出が続いていた排気塔で、放射性物質を含んだ高温高湿度のガスが排気塔に接触して冷やされて水滴となり、排気塔の下の方に落ちてゆき、次第に高線量になった、とのことです。東電のサーベイマップでもその周辺では高線量が発見されていた形跡がないのがその証拠の一つ、とされています。

ビデオの中で、えっ?と思ったのが一箇所。ガンダーセン氏は、原発敷地でがれきを土中に埋めている、".. bulldoze under" と言っているのですが、実際、そんなことはあった、あるいはあるんでしょうか?鉄製のさほど大きくもないコンテナにがれきを入れているのは見ましたが、あれじゃ大して片付かないだろうなとは思っていましたが、埋めた??そんな話は聞いていないぞ。

と思っていて、たった今思い出したことが。4月29日のとあるテレビ番組で、日本原子力技術協会最高顧問・石川迪夫(みちお)さんが言っていたことです。

がれきがじゃまなら、穴を掘って埋めてしまえ、あとで掘り出してなんとか始末すればいい」。逃げも隠れもしない原発推進派の石川さんが番組でおおっぴらに「炉心はとっくに溶けて落ちて、多分圧力容器から出ている」「とにかく原子炉に入る算段をすべき」と、当時ではとんでもないことを言っているのを聞いて、ああ、これは炉心溶融を公式に認める布石で、原子炉建屋にどうあっても人を入れる布石だな、と思ったのですが、5月になってそのとおりになりました。

ということは、石川さんの、「がれきを埋めろ」という提案も実行されていたんでしょうか?(ちなみに、番組のビデオは例によって既に消されていますが、このブログに氏の発言のまとめがありますので、ビデオを見損なった方はお読みください。あれは見ものでした。)

ともあれ、以下、ガンダーセン氏のビデオ日本語訳。

(H/T 東京茶とら猫)

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Lethal Levels of Radiation at Fukushima: What Are the Implications? from Fairewinds Associates on Vimeo.



福島原発で致命的な高レベル放射線検出:これが何を意味するのか

こんにちは。フェアウィンズのアーニー・ガンダーセンです。今日は8月4日木曜日です。2日前、東京電力は非常に高レベルの放射線が福島第1原発で検出されたと発表しました。この事象を全体に位置づけ、福島原発で何が起きているかについて私の考えをお伝えしたいと思います。

まず、東京電力が非常に高レベルの放射線を発見したのは、放射性物質を空気中に放出するための排気塔です。測定された放射線量は並外れて高く、10シーベルトでした。私はレムに慣れているのでそれに換算すると、1,000レムです。

これはどれくらいの数値でしょうか。1,000レム、いや測定器が振り切れたのでそれ以上ですが、これはその近くに30分居ただけで、数日で死に至るレベルです。このような被曝をすると広範囲にわたって神経細胞が破壊され、医学では修復できません。近くに数分以上いたら、死刑宣告を受けるようなものです。

興味深いのは、原発の敷地内についてはこれまでに詳細な地図が作成されていることです。最新版を見ると、ホットスポットが非常にたくさんあるのがわかります。ところが今回のホットスポットは、2日前まで発見されませんでした。

理由はいくつか考えられます。たとえば、保健物理学(放射線の安全な取り扱いを研究する実践的研究分野)の調査がひどくお粗末だったために、この100日間のあいだ見逃されていた可能性です。私はそうは思いませんが、とにかく、古い地図を見てもその場所に高線量の地点があると記されていないのは事実です。

もっと可能性が高いのは、時間の経過とともに放射性物質が蓄積したことです。私はそう考えています。

重要なのはこれが排気塔で見つかったことです。今回の高レベル放射線が検出されるまで、この排気塔は何週間も何ヶ月ものあいだ格納容器内のガスを逃がしてきました。朝、車のエンジンをかけると、排気管から水が滴り落ちることがあるのはご存知でしょう。福島で起きたのはそういうことだと思います。格納容器から出るガスは高温で多量の水分を含んでいます。ガスは排気塔を上へとのぼっていきますが、排気管の外側にガスが触れると、気体が凝縮して液体になります。

排出されるのは高温の水蒸気と高温の水だけではありません。多量のセシウムが含まれています。セシウムと高温の水が配管の外側を伝わって落ち、下に溜まった。時間とともにどんどん溜まって濃度が高まっていきました。

最初の調査のときには、まだほかの放射線源と比べたら線量が高くなかったために見落とされた可能性があります。しかし、時とともにセシウムを含んだ水がさらに流れ落ちてくるにつれて、その濃度はどんどん高まっていきました。

覚えておいていただきたいのですが、この致命的なレベルの放射線が見つかったのは敷地外ではなく敷地内です。これは喜ぶべきことです。ですが、その排気塔からは長期にわたって排気が行なわれていました。実際に過去140日間でどれだ
け高レベルの放射線が放出されてきたのかを今回の発見が物語っています。しかもそれは、環境中に放出された全体量のごく一部でしかないのです。

別の説もあります。事故後一週間のあいだに起きた爆発で吹き飛ばされたものが、あの場所に落ちたというものです。これもやはり保健物理学の調査がよほどお粗末だったためか、最初に調査したときにはなかったのにしだいに蓄積していったかのどちらかです。

東京電力は原発敷地内のいたるところで高線量のがれきを確認しています。作業員のアクセスを容易にするために、その一部はすでにブルドーザーでどかして埋めてあります。ということは、今後10年間にわたって、敷地内ではときおり急激な線量の上昇が起きることになります。ひとつには、埋めたがれきを掘り出すとき。掘り出す作業が続くあいだは放射線源が存在し続けることになります。

もうひとつは、実際に原子炉を解体するために人が建屋のなかに入るときです。今回以上に高い放射線量に直面することになるでしょう。思い出していただきたいのは、炉心が今や原子炉を突き抜けて、パンケーキのようにコンクリートに張り付き、下へ下へと落ちていっていることです。まだコンクリートを突き破ってはいないと思いますが。その炉心の放射線量は今回発見されたレベルの比ではありません。だから東電は原子炉をきれいにするまでに10年から20年かかると発表しているわけです。

この作業は、中に人を送り込んで床をシャベルで掘れば済むというものではありません。ロボットにやらせる必要がありますので、非常に長い時間がかかります。

この件に関して進展があればまたお知らせします。

最後にひとつお詫びがあります。前回のバーモント大学からのビデオに一箇所間違いがありました。最終処理施設が建設中なのは「フィンランド」です。プレゼンテーションのなかで私は間違ってスウェーデンと言ってしまいました。フィンランドの皆さん、皆さんの国を間違えてしまって申し訳ありません。

ありがとうございました。

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個人的には、ガンダーセン氏の「水滴と共に落ちて溜まったセシウム説」には必ずしも同意しないのですが、以下は単なる私の素人考え:

今回10シーベルト時以上の線量が検出された排気塔周辺が高線量である、ということはずいぶん前から作業員の間では知られていたらしいこと。また、東電の説明を信用すれば、周辺のがれきを撤去することが出来たので現場に行けるようになり、線量を測定したら10シーベルト以上だった、とのこと。

これを考え合わせると、最初から高線量だったが、がれきなどに隠されてある程度遮蔽されていたのではないか、という可能性はないか。東電の汚染測定マップはそんなに正確だとも思えない。さほど高くない線量を記入してあった箇所が、翌週の測定では高線量に跳ね上がっている事例は何回も見た。

もう一つ、この排気塔とつながる1号機建屋2階の「トレイン室」に近づいていったロボット「パックボット」が、パックボット搭載の線量計では測りきれない5シーベルト時以上の線量を検出しています。この場所には今まで人間もロボットも入ったことはなく、以前の線量など知る方法もありませんが、明らかに室内で検出。

これは配管の外側を伝って落ちた水の中のセシウムが、というより、配管のあちこちに超高線量の何かがへばりついている、という気がする。既に原子力の専門家の方々が何人かおっしゃっているように、ベントしたときに、既に溶融していた燃料の一部が圧力放出と共にガスと一緒に排気塔に押し出された、という可能性。それだと、建屋内の「トレイン室」の配管近くが非常に高線量だった説明もつく。

さて、真相は?

チェルノブイリ汚染のヨーロッパの木材は日本に大量輸入されていた?

東京大学名誉教授の森敏博士のブログ、8月2日付けのポストです:

「25年前のチェルノブイリ放射能事故で、汚染された森林の木材をヨーロッパ諸国が、どの様に処分しているのか報告します。ドイツ・フィンランド・スウェ -デンから、20年前からドイツトウヒ、フィンランドパイン等総称ホワイトウッド材を、日本の木材商社が大量に買い付け輸入が始まり現在も続いています。日本のスギ材より節が少なく、白系の色調で何よりスギ材より値段が安いホワイトウッドざいは、日本のハウスメーカー・ホームビルダー・ホームセンター等で 大量に消費されました。ドイツ産の木材はもう伐採処理が済んだせいか、最近めっきり見なくなりました。ロシア産のアカ松は現在もタルキ用材として、マン ション現場で消費されています。即ち自国より遥か遠方で、汚染材の処理に我々が気付かない内に、成功しました。われわれの無知が問題です。

という報告を先ほど炭生産業者からメールでいただいた。驚くべきことですね!

真偽のほどは私には分かりません。日本だけが輸入していたとも思えませんが、面白いのが「20年前」、つまり1991年から、日本の木材商社が大量輸入を開始した、というところです。

なぜ面白いかと言うと、当時の科学技術庁が作らせた原発推進のための「指南書」が作られたのがちょうど1991年。このブログでもポストを出しましたが、

チェルノブイリ原発事故後、旧科学技術庁(現文部科学省)が原発推進のため、政府機関や電力会社向けに“指南書”を作成していた。そこには、国民や報道機関、教育現場に原発の必要性を浸透させるための具体策が列挙されている。(西日本新聞7月20日付け記事)

つまり、「事故時を絶好の好機とせよ。」

「指南書」を作るだけでなく、チェルノブイリ原発からの汚染被害を受けたドイツ、フィンランド、スウェーデンの林産業を助け、安い木材を日本は手に入れることが出来る、木に含まれる放射能は極めて低いもの(かどうか私は知りませんが)なので、健康に影響はない、買い手に言わなければ分からないし、チェルノブイリ原発事故を過小評価しておけば誰も騒がない、と政府が思って、商社に対して「行政指導」を行わなかったかどうか。

というのも、このような(仮想の)考えが、今回の福島第1原発事故後の政府の対応に酷似しているように思えるからです。「ドイツ、フィンランド、スウェーデン」を「福島、宮城、東北関東諸県」に、「林産業」を「農業、漁業、畜産」に、「木材」を「野菜、果物、魚、肉」に、「チェルノブイリ原発」を「福島第1原発」に置き換えてみてください。

北欧の木材を使った北欧風住宅は、日本でも人気があるようですね。気候が合うが合うまいが、関係なさそうです。この人気が、チェルノブイリ汚染の木材を大量に引き受けるための、国の「やらせ」ではなかったことを望みます。

Friday, August 5, 2011

「混乱の秋収穫期」:田の稲わらはやっぱり鋤き込まれていた

秋の収穫期が来ると大混乱が起きる」という東大の小佐古教授の言葉はあまり注目を集めなかったようですが、肉牛のセシウム汚染の原因が福島第1原発事故後も田に放置してあった稲わらだった、というニュースを聞いたときに私がすぐ思ったのは、

「もしかして牛にやらない稲わらは田んぼに鋤き込むのではないか」

ということでした。さっとネットで調べてみると、普通は秋の収穫時に干した後、牛の飼料として保存するか堆肥に仕込む、ということのようですが、但し書きとして、

「天候不順などで秋に十分に干せないときは春まで田に放置されることがある」

「鋤き込みは通常秋に行うが、春に行うこともある」


うーん、これは危ない、と思っていましたが、実際に春に鋤き込んだらしい農家の言が、フライデー8月12日号記事に掲載されていました。(記事一部転載)

見渡す限り青々とした田園風景の中で、ササニシキやコシヒカリなどブランド米の産地として知られる宮城県栗原市の米農家、佐藤護さん(77)が言う。

「この時期ににわか雨がどっと降ると、一気に穂が出てくる。あと1ヵ月もすれば収穫が始まります」

 少し早い実りの秋を控えているのに、佐藤さんの表情は晴れない。栗原市や同県登米市の稲わらから暫定基準値の2.7倍超のセシウムが検出され、畜産農家だけでなく、米農家までをも混乱の渦に巻き込んでいるからだ。

「この地域では汚染米の心配をしている農家は多い。特に稲わらの収穫が遅れ、春以降も田んぼに放置していた農家は戦々恐々としています」

 登米市で畜産と稲作を営む伊藤貞幸さん(63)も、不安を隠せない。

「う ちは60頭の黒毛和牛を飼っていますが、以前なら最上級のA5クラスの肉は1kg当たり2000円で売れたのに、今は1200円。A3クラスは 1kg1300円から、200円にまで値が落ちた。今は出荷を自粛していますが、肉だけならまだしも、米が気になる。(原発事故以降に)野外に放置してい た稲わらは牛の餌として使ったり、肥料のために田んぼに鋤き込んでいるので、『稲が(セシウムを)吸い上げてしまうのではないか』と不安に感じている農家 が多いんです

やっぱり。

それだけではありません。福島県を含む東北、関東の県は、今年の作付けを行う前に田の放射性物質の測定を行い、放射性セシウムが土壌のキロあたり5000ベクレル以上のところは作付け制限したことになっていますが、その測定というのは乾いた土を測定したのでしょうか、それとも水を既に引いた田の泥で測定したのでしょうか?

宮城県の4月1日の検査には、「水田土壌、乾土」とあります。4月1日では、田んぼにはまだ水を引いていなかったのではないでしょうか。

フライデーの記事つづき:

立命館大学名誉教授で放射線防護学が専門の安斎育郎氏が言う。

「これから米の汚染は必ず出てくるでしょう。なぜもっと早く土壌だけで なく、水田の検査をしなかったのか。セシウムは水溶性なので、土壌を調べるのと、水を引いた田を調べるのではまったく違う調査結果が出る可能性がありま す。また汚染は関東、北陸、東海地方にまで拡大しているので、広い範囲でチェックを行うことが必要です。稲が吸収したセシウムは主に玄米に留まり、籾殻や 糠などに高い数値が出ます。これを精米し、白米にするとグンと落ちますが、低線量の内部被曝に弱い児童の給食などに用いられると、白血病やがんなど深刻な 疾患のリスクを高めます」

 政府は1kg当たりの土壌中の放射線量が5000ベクレルを超える場合には作付けを禁止し、収穫された玄米の放 射線量が1kg当たり500ベクレルを超える場合には出荷停止の措置をとるとしているが、徹底できるのかは甚だ疑わしいし、そもそも国の基準値は低線量の 内部被曝による健康リスクを度外視した数値なのだ。

放射線専門家の皆様は、4月の上旬に政府、自治体が水田の土壌の検査をしていた時に、何をなさっていたのでしょうか?今更そんなことを言われても、もう静岡、千葉では早生米の収穫期です。

また、検査したと言う田も、各市町村で一箇所程度、しかも米を作付けする全ての市町村で検査したわけでもありません。

こうなると無能を通り越して悪意すら感じられる政府の対応、および専門家の沈黙と言わざるを得ません。

福島県民健康調査、WBCでのセシウム137検出限界570ベクレル、尿検査検出限界13ベクレル

ざるみたいな検査ですね。一体どんな機器を使っているのでしょう?

ああそうか、検出しないための検査なんだ。さもなければ、検出は出来ているのだけれど、県民には検出限界以下、と言うことしか知らせないための検査。

研究熱心な山下俊一福島医大副学長がもちろん検討委員のお一人でいらっしゃいますから、このような粗い検査しか出来ない測定器では有効な研究資料が取れるわけはないと思いますので、最悪の場合、上に挙げた最後の可能性ではないかと。

木下黄太さんの8月4日付けブログポスト

福島県のホールボディカウンターがきちんと運用されているのか。疑う情報です。

『平成23年度第3回福島県「県民健康管理調査」検討委員会』の資料です。http://www.pref.fukushima.jp/imu/kenkoukanri/230724shiryou.pdf

 先行で福島県民の放射性物質をはかっていたホールボディカウンター の最低の検出限界がCs‐134:320Bq、Cs‐137:570Bqということです。衝撃的な最低値です。福島県内のホールボディカウンターが、バッ クグラウンドの数値が高いため、きちんと機能しないだろうことは、もともと専門家の間でも想定内でした。それは、精密度の問題であって、誤差は出るのだろ うけれども、一定レベルの機械で測っているものだと勘違いしていました。北海道がんセンターやタイは100Bqくらいは測れるはずです。僕の知り合いはド イツで精密型のホールボディカウンターを無料で受けました。検出限界は20Bqです。こういうレベルで測定できるのがあたりまえです。しかし、この福島県 民がうけたホールボディカウンターは検出限界がCs‐134は320Bq、Cs‐137は570Bqなのです。こんな数字でまともに測っているといえるの か。発生して数ヶ月が経過して始めていることから、生物学的半減期を考えると、この検出限界に達しない事が多いでしょう。これで測定しているなんてちゃん ちゃらおかしい話です。

 その上、尿検査は一リットルあたり13Bqがこれまた、検出限界となってい る。普通の民間検査会社でお子さんの尿を個人依頼しても、1Bq以下でも検出していて、体内の蓄積と尿への排出の関係を考えると検出が数ベクレルレベルか らは、考慮すべき事を考えると、尿検査の検出限界も13Bqというのは、十倍以上緩い(たぶんもっと)検出限界です。これも意味があるのかという検出限界 です。

 こんな緩い検出限界で大丈夫かと率直に思います。というか、きちんと測定し ようとしているのか?と。全国のホールボディカウンターを極力測らせないように、業界内で周知の文章がまわっている状況(全国殆どの施設でWBCを受けら れない)とあわせて考えると、福島県民も含めて極力、放射能による健康被害を顕在化させないように、政府も福島県も専門家たちもぐるになっている構図がま たもあらわになっています。こんなレベルまでやっていたとは。いくらバックグラウンドが高くてもその中で、さらにこのレベルとは。またしても、驚きです。

検討委員会に名前を連ねているのは、このような面々:


内閣府原子力災害対策本部・経済産業省、文科省、厚生省からお目付けがある、というのも、政治に都合のよいデータ取りが行われかねない気がして、あまりいただけません。

先行の120人のホールボディーカウンターによる検査は、千葉の放射線医学総合研究所で行われたようなので、福島県の高いバックグラウンド放射線は気にしなくてもいいのだと思いますが、放射線医学総合研究所のホールボディーカウンターがそんなに粗い検査しか出来ないのか、非常に疑問です。

また、資料の中に、全福島県民の健康調査の概要を表にまとめたものがありましたが、こっちの方が問題のような気もします。と言うのも、調査とはほとんど名ばかり、大部分が自己記載の問診(生活習慣、既往症、家族暦、医療被曝暦など)で、せいぜい甲状腺の超音波検査(18歳以下の子供のみ全員)、血液検査、尿検査を避難区域の人々に行うくらいです。血液検査、尿検査の内容も、通常の検査と別に変わるところはないように思われます。これで何がわかるのでしょうか?