Monday, March 26, 2012

がれき広域処理に反対する、ささやかな声 (ゲストポスト)

このブログで今年の1月にご紹介した、ネクタリーナさん(「原発事故、放射能汚染を親しい人と語れない」)のお友達が書かれたものです。東京から山口に避難なさって健康を取り戻したものの、山口県防府市ががれきを受け入れる意向、と知って、以下に掲載する文とほぼ同文の手紙を山口県知事宛に送ったそうです。

ネクタリーナさんと似た素直な文章で、ご自分の体験から書かれています。

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私は昨年3月11日には東京で会社員として勤務していました。
福島原発爆発で放出された大量の放射性物質は風にのって東京にもプルームとしてやってきて、3月15日と21日の雨で降り注ぎ、東京を汚染しました。

放射性物質が含まれた雨に濡れると被曝することを知らなかった私は、仕事の帰りにその雨に濡れてしまいました。右手を怪我していたのに雨に濡れたのは本当に運が悪かったと思います。

クレーターのように皮膚に穴があき、ぼこっと血が噴き出るなど、かつて経験したことのない症状がすぐにでました。そしてその後、下痢がとまらない、倦怠感、頭痛、熱が下がらない、帯状疱疹、リンパの腫れ、紫斑がでる、小さな疱疹が繰り返しできるなどの症状に悩まされました。

11月に心臓が急に痛みはじめた時は、もうこのままでは死んでしまうと避難を決意しました。

日本のどこなら安全だろうと避難先を探した時に、幼い頃住んだことがある瀬戸内海沿いなら地震も津波も少ないし、福島原発からは950kmと離れているし、海の汚染も太平洋側よりはずっと少ないだろうと思いました。

何より東京ではもう水源地が汚染されたために水道水も汚染されていて、炊事はミネラルウォーターを使いましたが、お風呂や洗濯、掃除すべてが汚染された水道水を使うしかなく、もうこの状態では東京で生活していくのは無理でした。

また汚染が少ないであろう西の食材を買いたくても、産地偽装が横行していて、不安は尽きませんでした。

だから安心できる空気や水、食材を求めて山口県に避難することを決意しました。

昨年12月に仕事を辞めて山口県に避難してきた時は、心からほっとしました。
安心して呼吸できる空気、安心して使える水道、新鮮な地元産の野菜が手に入る喜び。綺麗な海や川、優しい山口県の人たちの人情に触れて嬉しくて涙しました。

洗濯ものを外に干せる喜び、マスクなしでも外を歩ける感激、体調もこちらに来てからだいぶ回復しました。
仕事をやめて、生活基盤は失ったけれどもとにかく生きていれば、道が開ける。そのことがとても嬉しかったです。

まだ関東に残っている友人たちに、山口産のお野菜を送り、「新鮮でとても美味しい」と喜ばれています。
みんな「山口県は素晴らしいところだね。山口県に移住したい」と言ってくれています。

しかし先日、防府市が瓦礫を受け入れる意向だと新聞で知りました。
その時もうこれ以上どこに逃げればいいのか、途方に暮れて悲しい気持ちでいっぱいになりました。

この山口県の素晴らしい自然は宝物です。これを汚染させることがないよう、心からお願いいたします。
これからも綺麗な海や空、空気、食べ物を守ってください。

そして私と同じように体調不良に苦しんでいる東日本の人々が安心して移住して来られる山口県でいてください。
今関東にいる多くの友人は避難したいけれども瓦礫受け入れの動向を確かめてからと、じっとことの顛末を注目しています。

是非そういう人たちを受け入れられるよう、「瓦礫は受け入れない」と宣言していただきたいです。

どうかよろしくお願いいたします。

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放射能に対する感受性はそれこそ個人個人によって大きく違います。ICRP(国際放射線防護委員会)の勧告ですらそのことを明言しており、「平均的個人」を対象とする対策にはあまり意味がない、としています。

アメリカ、ヨーロッパ在住の読者は英語ブログの方に、去年の事故の最初の頃から、「放射線の影響としか思えない健康被害が自分に出ている」というコメントを寄せてきています。最近ではそれに皮肉を利かせて、「山下教授の言うように笑っていないせいだろう」と言い、その裏に「日本人はいったい何やってるんだ?」という気持ちが怒りに変わってきつつあるのが分かります。政治家、官僚のことではありません。一般の日本市民は何やってるんだ、と言うのです。

彼らは日本が放射能に汚染された地震・津波がれきを日本中で焼却するという恐ろしい事態に対して遠方から何をすることも出来ず、何もしていない(ように海外からは見える)一般の日本人が理解不能な不可思議なものに見えるのです。危険が迫ると頭を砂に突っ込むダチョウのように、放射能汚染を見たくない、知りたくないのは日本人の勝手だが、世界にこれ以上汚染を撒き散らすのはやめてくれ、と彼らは言います。

このネクタリーナさんのお友達の文章を英語ブログでも出してみようかと思います。ちゃんと声を上げている日本人もいる証拠に。

16 comments:

  1. 英語でブログ、是非とも・・一在米日本人としてお願いし
    ます。

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  2. こんにちは、いつも情報発信を有難うございます。
    東京在の中1息子の母です。
    何をしたら良いのか?右往左往した1年でした。まだ考え続けています。
    ご縁で知った福島県いわき市のマスクアクション。
    現地のお母様が発信している「測ってみっぺいわき」と言うブログを
    貼り付けさせてください。現地の親達でもガレキ拡散の反対を呼びかけています。
    http://maeveherb.jugem.jp/?eid=107
    拡散頂ければ嬉しいです。

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  3. 汚染がれき受け入れ反対、などと公の場で、とてもいえない雰囲気です。この日本という国、もうおかしくなってしまったんでしょうか。。。「絆」なんていうまやかしの言葉で、瓦礫受け入れ反対者は、謀反者、非国民扱いです。そんなことをFBやTwitterでつぶやけば、途端に避難されます。。。だからじっと黙っている事にしました。悲しいです。

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  4. 何度も失礼します。測ってみっぺいわきを貼らせていただいた者です。

    黙っている事にしました・・さん。
    近くに同じ考えの仲間はいませんか? 居なくても、ネットで捜すと居たりしませんか?
    ニュース等ではガレキ受け入れが国民のつとめ・・・みたいな呆れた報道ですよね。
    NOを発信する事が、大事と思います。ニコリと笑って、NO!でも良いじゃないですか?
    私も仲の良いママ友達でさえ温度差を感じ、日々悶々としています。
    (あ、ある意味私も彼女達には黙っている事にした・・のかも・・です。涙)
    でも、ネットで見つけた「黙っている事は賛成を意味する」の言葉に
    背中をおされ、あちこちで自分なりに発信しています。
    回りの冷たい反応に絶望感で凹みもしますが、お互いに諦めずに発信したいですね。 この先、後悔しないために・・。

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    1. ご紹介いただいたブログ、ツイッターで拡散させていただきました。ありがとうございます。

      がれき拡散・焼却にも、汚染食品の拡散にも、ぜひ反対してください。どちらも、まったく必要の無い、おろかな行為です。過半数が賛成(あるいは反対しない)からといって、それが必要な、賢い行為に化けるわけでも何でもありません。

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  5. ネクタリーナさんの経験した症状、私も分かります。この1年、外気に触れる手の甲、顔、特に目のなかのあちこちに、時々ピンポイントの激痛が予想外の箇所に走りましたね。私は、マスクとメガネで防衛中です。昨年3月15日などは、手袋をしていたのに手の甲はかなり痛かった。洗っても洗っても痛みは取れず、やっぱり駄目なのかなと思いました。お陰できれいだった手も老化し、右手を今数えると、小さな1,2ミリ径の褐色のシミが10個できました。これは多分痛かった場所に対応していると思っています。心臓の痛みの話も分かります。妙な重い疼痛です。夜横になっていると、これ以上内部被曝すると心停止してしまうかもと感じるくらいになったので、少しでも線量があるものは食べないことにしました。健康な心臓だったのに。思い当たる皆さんも気を付けて。

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  6. 今日、福島から避難している方に会ってお話を聞きました。沢山のものを失い、つらい思いを一杯されたであろうに、瓦礫の受け入れ反対運動に東奔西走されていました。地元民と一緒になって、地域の視点から瓦礫の受け入れ阻止を考えていきたいと言っていました。本当に頭が下がります。

    『放射性物質は拡散してはならない』これは基本であり、正しいことです。今、瓦礫拡散を止めなければ日本は数年後には『世界の核のゴミ捨て場』としてしか外貨を稼げなくなります。

    日本の逼迫した現状を真正面から見れば、人の目がどうのこうの言ってられない緊急事態だということがわかるはずです。

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  7. 測ってみっぺいわき、を貼ってくださった方!!どうも有難うございました。そうですね、、弱気になってはダメですね。

    実は黙っていようと思ったのは、FBやTwitter、だけです。あちこちの「瓦礫拡散反対」や「原発反対」のサイトにはコメントをのっけたり、アンケートでNOを投票したりしています。少なからず同志はいるのですよね。

    でも同志だと思っていた、尊敬していた人がその人のFBで「瓦礫受け入れがどんどん広まっていてうれしいです」とコメントしていたのを見た時のショック。。。言葉にできません。自分がおかしいのか?という思い、それから本当に被災地では、瓦礫を拡散して欲しい、とみな思っているんだろうか?と悶々と悩んでいました。ですから、「測ってみっぺいわき」のサイトをみて、本当に安心しました。再度有難うございます。絶対反対!の気持ちを強くしました。

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  8. 何人かとお話ししましたが、被災地の人は瓦礫を受け入れてほしいなんて思っていないです!!!
    むしろ逆で、沢山の避難民の方々が避難先で瓦礫受け入れ反対運動をしています。

    もし汚染されていない安全な瓦礫であれば、地元の雇用創出のためにも現地で処理すべきです。瓦礫の輸送費、処理費に使われる税金は直接被災地支援に回すべきです。

    島田市の瓦礫焼却で明確になりましたが、放射能を99.99パーセント除去できると国が言っていたバグフィルターでは、実際は60パーセントぐらいしか除去できず、40パーセントは環境にばら撒かれ、市民は呼吸器被爆した可能性大です。

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  9. 瓦礫問題、ものすごい圧力で西日本も危ないです。
    大阪橋下市長は言わずもがな、京都・愛知は知事が推進派、京都市長は試験焼却を始めるつもりと言明。
    滋賀県もいくつかの市町村が手を挙げ、水源・琵琶湖危うし。
    そこでブログ主さんに提案があるのですが、ぜひ、京都の瓦礫問題を英語ブログに書いていただくことはできませんでしょうか?
    海外の方にとって、京都は東京と同等かそれ以上にインパクトのある街。京都自身が観光が大きな産業で、国際会議の場としてもメジャー、海外の方からの否定的反応があることは、非常に意味があるように思うのですが・・・
    あわよくば、京都滞在経験等のある方々に、滞在したところに反対意見を送っていただければさらにありがたいことなのですが・・・
    もしご賛同いただけるなら、非力ですが資料も集めてみたいと思います。

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    1. 英語ブログに、京都在住の外国人レポーターがニューヨークタイムズに書いた、「今こそ日本に行こう!」というがっかりするような記事を載せました。それを見た外国人読者の怒ったこと。 

      がれきの京都持込については書こうと思ってつい他の記事を優先させてしまっていますが、書きたいと思います。ニュースのほかに何か良い資料をご存知でしたらお知らせください。

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    2. 京都情報少し集めてみました。どうやってお送りすればいいでしょうね。

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    3. そうか、コメントでお送りして、承認していただかないという手があるでしょうか。文字数無制限かなあ。相当量あるんですが。

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    4. コメント欄にメールアドレスをお残しいただければこちらからメールを差し上げます。コメントは非承認のままにします。

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  10. この国は、もうダメですね。逃げるしかない。
    放射性物質の管理については、主権を日本から取り上げて、
    国際的管理に委ねた方が良いと思います。

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  11. がれき広域処理に反対は重要です。そもそも除染するから問題なのです。除染で土を削ったりするから1箇所に集められて、人為的なホットスポットができあがります。
    汚染物質は、なるべく個々の庭や敷地に分散的にそのままにしておいた方が、安全ですね。そして、瓦礫処理の問題は、絶対に他の地域の住民が納得できないから、やっぱりの福島の地元の方に犠牲になってもらうしかありません。
    被災地支援といっても放射能が絡むと別問題。やはり汚染地域の外に出すのが問題なのです。

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