Friday, August 24, 2012

小さく散った金曜日デモ: 8月24日米大使館前抗議活動と東電前抗議活動


東京の官邸および官邸周辺で大掛かりに行われるようになったいわゆる「官邸デモ」が、警察の過剰警備(と言われている)、”シングル・イシュー”(Single issue)のマンネリ化、一部の主催者への反感などからどうやら下火になりつつある模様が窺えますが、岩上安身さんの毎週のIWJ中継を拝見する限り、個々の小さな抗議行動は全国に散ってスタートした感があります。

その一つ、おそらく最小の抗議人数ではないかと思われるのはこれ、東京の米国大使館前での抗議。以前に青森の弘前市内だったと思いますが、原発反対の街頭抗議が5,6人、というIWJ中継を見た覚えがありますが、8月24日の大使館前は3人。それが、抗議を続けるうちに6人に増加。人数で考えるとまったく大したことはないのでしょうが、パーセントで考えれば、100%の増加。

IWJ中継からのスクリーンショット:


抗議行動が小さく散ったことを後退と見る向きもあります。しかし、”シングル・イシュー”と銘打ってイベント化されたものに参加するのと、少数ながらもそこでいわば「体を張って」主張するのと、どちらが一人一人にとって「本物」か、と考えると、私個人は後者だと思います。その小さな抗議行動が政治を変えるか、システムを変えるか、という次元ではおそらく答はノーですが、個人の意識の変化、ということでは大きなイエスだ、と思うからです。

つまり、わずか数人であろうとも、数百、数千であろうとも、自分はこう思う、ということを公にしてもかまわない、誰が賛同しようとしまいと、自分はこう思うのだ、と表明することが、「変なこと」、「変な人のやること」ではなくなっている、ということです。

海外から見ると「だからどうした」のレベルなんだとは思いますが、日本のこれまで、福島原発事故以前の日本から考えると、まったく大した進歩だと思います。

こちらは東電前の抗議活動。やはり8月24日。双葉町の埼玉県避難所(廃校になった高校)で今も暮らす避難者の方々のビデオを街頭で流したそうです。こちらも少数。10数人、といったところでしょうか。「原発作業員を使い捨てにするな」という抗議プラカードも。ここのフォーカスは福島原発事故。主催者のサイトはこちら→http://toudenmaeaction.blogspot.jp/2012/08/824.html


このような小規模抗議がいつまで続けられるのかは分かりませんが、何より人々の意識が変わってきている、しかも、ネットのおかげでどんな小さな活動でもその倍、十倍、時には百倍する人々がその活動を見、主張を聞くことが出来るようになっている、という事実は大きいと思います。

Sunday, August 5, 2012

OT: 広島原爆投下67周年に、私の選んだ音楽


"Lux Aurumque (Light and Gold)" by Eric Whitacre


(私はこの曲を含む彼の作品群のプレミアで、合唱団で歌いました。この人はものすごく才能のある指揮者でもあります。)

Saturday, August 4, 2012

今年の福島のモモの安全確認はどのように行われているのか?


事故からもうすぐ17ヶ月。ここ3ヶ月ほど、特にこの1ヶ月は、関西電力の大飯原発の再稼動反対、再稼動してしまってからも、再稼動反対の「シングル・イシュー」とかいうことで(英語で表記すると”Single issue”)、東京の首相官邸近辺、関電の本社で毎金曜日に行われているデモに焦点、関心が集まっているように見受けられます。ここ数日のツイッターを駆け巡る「はやり(流行)」はこれに加えて「カリフォルニアの漁業禁止」(デマです)、「ロンドン五輪開会式で日本選手団が退場させられた」という「ニュース」。

そんな中でも、フォローさせていただいている方々から流れてくるツイートを見るたび、「シングル・イシュー」デモよりも、遠いカリフォルニアのマグロよりも、こっちに関心を持ち続けることの方が肝心なのではないか、と思うことの多いトピックが二つあります。一つは下火になったとはいえ、広域がれき処理、もう一つは、食品の放射能汚染。このポストでは、後者について今日目に留まったニュースをご紹介したいと思います。

なぜ目に留まったかといえば、ちょうど去年の8月、モモのシーズンに、福島県の中学生が修学旅行先の横浜で、モモを配って風評被害に抗議していたニュースを思い出したからです。

遠く(カリフォルニア)のマグロより近く(福島)のモモ、と言ってはなんですが、英語で言えば”First things first”、何はさておき日本の食品が第一、ということで、まずは2012年8月4日のNHKニュースから:

福島の桃 安全を確認して出荷

福島特産の桃の出荷が3日から本格的に始まり、ことしはすべての農家を対象に放射性物質の検査を行い、安全を確認したうえで出荷しています。

桃の生産量が全国の市町村で2番目に多い福島市にある選果場には、収穫されたばかりの桃が次々と運び込まれています。

担当者は桃を1つずつ手に取って、傷がないか確認したあと、専用の機械で糖度や熟し具合などを測って、丁寧に箱詰めしていきました。福島市の農協によりますと、主力品種の「あかつき」は、春先の天候不順で小ぶりになったものの味は濃く、甘みが強いということです。

また、ことしは放射性物質の測定器を46台用意して、すべての農家を対象に、桃を測定器にかけて放射性物質の有無を検査しています。

2日までに2000を超える検体を調べた結果、いずれも安全性に問題がないことが確認されたということです。

JA新ふくしまの斎藤隆営農部長は、「すべての農家のすべての品目を検査して、安全性が確認された桃だけが出荷されているので、安心して召し上がってください」と話していました。


すべての農家対象とは言っても全量検査であるはずもなく、検体が2000ということはサンプル調査なのでしょう。NHKニュースには「安全性に問題がない」とありますが、それは単に「セシウムがキロ100ベクレルを超えていない」という以外の意味はなく、実際にどのような数字が出ていたのか、全く分かりません。

そこで、直接の情報を探して福島県のサイトを検索したら、出ていました。ここです: 「ふくしまの恵み安全対策協議会 放射性物質検査情報」

サイトの情報によると、

検査期間 2012年06月20日~2012年08月02日
現在までの検体数  5,354点
NaIシンチレーションサーベイメータによる、協議会による簡易検査で、検査の結果放射性セシウムが50ベクレル/kgを上回った場合は、福島県がゲルマニウム半導体検出器による検査を実施

福島県全域、全期間の検査結果:
セシウムキロ当たり25ベクレル以下: 5297点(99%)
25ベクレル~50ベクレル: 57点(1パーセント)
50ベクレル以上: なし



個別の市を見てみると、伊達市と桑折町で、25~50ベクレルが検出された割合が1パーセントを超えています。伊達市は3パーセント(1532点中39点)、桑折町は2パーセント(730点中12点)です。

シンチの計測で50ベクレルを超える検体がなかったため、ゲルマニウム半導体検出器の検査は行われていないものと思われます。

シンチでの測定時間がどれくらいだったのかについて、「検査方法」のリンクをクリックしてPDFファイルを見てみましたが、一切情報はありません。結構ちいさな容器に詰めての検査のようです。


私は結構この測定時間が気になります。というのも、つくば市による測定で、NaIシンチを使った市の測定の時間が短かったために基準超えを検出しきれていなかった、という情報があったからです。(茨城市民放射能測定プロジェクト; 自家用大麦)

とまれ、この自主検査のお墨付きですべて「安全」、出荷OKになって、全国に出荷されています。「福島の生産者が心を込めて育てた桃です」とのアピールは、去年と同じですね。

心を込めれば放射能が消えるのならどれほど良いことでしょう。

ちなみに、キロ当たり25ベクレルというのは、去年南カリフォルニア沖で捕獲されたクロマグロのキロ当たりセシウム量(10ベクレル)の2倍以上です。

”First things first”。